充電時間を5~10分に
ORNLとHEVOが共同開発している、300kWまで対応のワイヤレス充電システム。現在、一般向けに販売されている小型EVのバッテリーパックの容量は、30kWhから60kWhのものが多いといいます。一方で、長距離EVに備わった100kWhのバッテリーパックを15~20分で充電するには、300kWの充電システムが必要。さらに充電時間を5〜10分に短縮するためには、電力を0.5MW以上に増強する必要もあります。
そんな中、ORNLが開発した多相電磁コイルは既存の技術の8~10倍の電力密度、1m2あたり1.5MWの電力密度を実現します。同電磁コイルのライセンスを提供することで、世界最小にして最高の電力レベルの充電システムを開発しようとの計画です。
長距離トラックの電化をサポート
同システムを用いて、アメリカにおける自動車燃料消費の中で、かなりの割合を占める大型長距離トラックをEV化する狙いも。一方で、長距離トラックのような大型車をEV化するためには、数百kWhのバッテリーパックを備え、メガワットレベルの電力を必要とします。ORNLによるコンバーターおよび関連技術に基づく同システムでは、ワイヤレス充電の電力変換ステップの1つが不要になるため、低コストでコンパクトなインフラストラクチャの構築が可能に。グリッド側の重量、体積、サイズが最大50%削減できるとのこと。
また、州間高速道路を走行しながら給電することで、より少ないバッテリー容量で走行距離を伸ばすことができるといいます。
コンパクトで高効率なEVワイヤレス充電システムの開発では、ORNLのコア技術に加え、HEVOのソフトウェア開発技術および商用化のノウハウが活用されます。
参照元:High-power wireless vehicle charging technology licensed by HEVO/ Oak Ridge National Laboratory
(文・山田洋路)