「S1」とは?
このたび宇宙に輸送された「S1」は、宇宙ステーション船内外や軌道上サービス、月面基地開発における特定の作業を自動化する単腕型作業ロボット。AIを用いた自律制御とGITAIが開発する地上からの遠隔操作システム「H1」による操作を組み合わせ、工具操作・組み立て作業など汎用的な作業を1台で遂行できるのが特徴です。「S1」は、2020年12月に宇宙組み立て作業の地上実証に成功しています。このときは、柱状のパーツから架台を立ち上げて、パネル状のパーツの組み付けを行いました。なお、この宇宙組み立て作業は、打ち上げるもののサイズに制約がある宇宙で、狭いスペースに収まるパーツから大きな構造物を組み立てるというもので、宇宙開発において注目されている手法だといいます。
汎用作業遂行技術の実証へ
「S1」は、2021年6月にNASAによる安全審査をすべて通過し、今回の打ち上げを迎えました。今後GITAIは、米国民間宇宙企業Nanoracks社と共同で、ISSのBishopエアロック船内にて「S1」による汎用作業遂行技術実証を実施します(2021年10月頃を予定)。同技術実証では、NASA宇宙飛行士によってBishopエアロック船内に設置された「S1」で、スイッチ・ケーブル操作などのISS船内作業と、宇宙用パネル組み立てなどの宇宙組立作業を遂行。まずは自律制御によって遂行し、その後にヒューストンのNanoracks社管制室からの遠隔操作によっても遂行するようです。
GITAIは同技術実証を通して、宇宙で汎用的な作業を遂行可能な宇宙用自律ロボット技術の獲得を目指し、軌道上サービスにおけるドッキング・修理・メンテナンス作業が可能な船外ロボットアームの開発や、月面探査・基地開発作業が可能な船外汎用作業ロボットの開発につなげていきたいとしています。
PR TIMES
(文・Higuchi)