日本の約3倍の台風が通過
2016年にフィリピンのエネルギー省が発表したデータによると、同国は急激な経済成長によりエネルギー需要が著しく増大しており、電化率(最終エネルギー消費の合計に占める電力の割合)は約9割に。一方で、チャレナジー社の担当者は「約800万人が未電化地域に住んでおり、電気が通っている地域でも24時間の電力供給が受けられない弱電化地域が40%以上あるのが現状」と話しています。その理由のひとつは、フィリピンは7,600以上の島で構成される島国であり、離島や山間部のように地形的なハンディを有している地域では電力系統インフラが整備されていないこと。さらに別の理由としては、台風の襲来頻度が高く、安定した電力供給が難しいことが挙げられます。実際に、2016年~2020年の気象データに基づくと、フィリピンには平均16.8回、日本の約3倍の台風が通過しているようです。
地産地消できる電力供給
チャレナジー社はこのようなフィリピンの状況を活用するため、台風などの強風速域においても発電できる「垂直軸型マグナス式風力発電機」を開発。フィリピンにおいて「地産地消」できる電力供給を目指し、実証事業をスタートしました。同プロジェクトのフィリピン初号機は、2018年に石垣島でスタートした実証成果を反映し、性能・耐風速設計がともに向上。より強風が吹く地域でも設置が可能となり、フィリピンの建築基準をクリアする70m/秒まで耐えられる設計となっています。初号機で発電された電力は、当面、独立電源として街路灯・農業用水ポンプなどの地域生活に密着した用途に活用される予定とのこと。
同社の担当者は「今まで再生可能エネルギーの設置が困難であった遠隔地や離島でのエネルギーの地産地消に尽力していまいります」と話しています。
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(文・Takeuchi)