多様な状況変化に対応するAI
「Hungry Geese」では、自分のチームのガチョウを操作し、食物を食べて体を長くしながらマスの上を移動する中で、自分の体や相手チームのガチョウにぶつかることなく長く生き残れば勝ちというゲームを4チーム同時に対戦します。同コンペは、このゲームをプレイするAIを開発し、その強さを競うというものです。チーム「HandyRL」のAI開発は、機械学習システムの開発と実装支援をするプロジェクトチーム「quantum AI」のシステムを活用し、大渡氏が中心となって行ったといいます。今回のAI開発のポイントは、多人数ゲームならではの協力や想定外の行動をとってくる相手に対してのリスク管理。こういったポイントをクリアするAIを開発することで、複数要素が絡み合い刻々と変化する状況下で機能するAI技術の発展に寄与できるとのことです。
「HandyRL」の優勝を受けて「quantum AI」は、日本のAI技術をリードし、企業の機械学習プロジェクトにおける開発・実装から運用までサポートできるチームを目指してさらに邁進したいとしています。
昨年のAIコンペでも入賞
今回チームを組んだ大渡氏と田中氏は、2020年9月~12月に開催された、Googleとマンチェスター・シティF.CによるサッカーAIコンペティション「Google Research Football with Manchester City F.C.」でもタッグを組み、チーム「TamakEri」として参加しました。このコンペでは、各チームが作成したAIエージェントが11対11でサッカーの試合に臨みます。合計1138チームによって多数の試合が行われ、その勝敗結果をもとに順位付け・レーティング計算が行われました。結果、「TamakEri」は5位入賞を果たし、日本人チームとして最高位を獲得する成績を収めています。
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(文・Higuchi)