このたび、同院の運営を通じて開発していたクラウド型診療支援システム「MEDi」のβ版が完成。先行利用を希望するベトナムの医療施設に2021年9月1日より順次導入する見込みです。
まずは「電子カルテ機能」を提供
「MEDi」は、クリニック運営に必要な機能を実装したSaaSで提供するプラットフォーム。β版では、電子カルテ機能を提供予定です。電子カルテ機能には、主治医画面・画像診断医画面・薬剤師画面・会計画面などのさまざまな画面があり、職種ごとのアクセス管理・複数クリニック管理など多様な管理に対応できる機能が搭載されています。今後は、Web問診機能や診療支援AI、経営分析機能などを順次リリースしていくようです。「MEDi」は、9月1日よりベトナムの医療施設36か所に同社が運営する「METiC」を加えた37か所に無料トライアルという形で先行リリース。その後は、利用施設からのフィードバックをもとに開発を進め、2021年中の本格リリースを予定しているとのことです。
グローバル遠隔診療に挑戦中!
ではここで、同社が運営するスマートクリニック「METiC」について簡単に紹介しておきましょう。「METiC」では、日本の医師と現地の医師・患者・医療通訳をzoomでつなぎ、グローバル遠隔診療のトライアルを開始しています。具体的には、日本の医師が問診や検査の結果をクラウド型電子カルテで確認し、現地の医師へアドバイスするという仕組み。日本の医師は、自院や自宅からリモートワークでの参加が可能となります。現在「METiC」では、一般内科診療に加え、生活習慣病健診・関節や骨密度検査・ウイメンズヘルスケアなど各種検診を実施中。ハノイの1号院を皮切りに、東南アジアのすべての国でスマートクリニックを展開していく構えです。ちなみに、2ヵ国目の進出先として想定されているのはインドネシアとのこと。
なぜベトナムなのか?
同社はなぜベトナムで「METiC」および「MEDi」を展開しているのでしょうか?ベトナムでは、2028年までにベトナムの全医療機関に電子カルテの導入が義務付けられています。同国の全クリニック数は約14,000程度ありますが、2021年時点では電子カルテの導入は国立病院などの大病院や大都市部の一部民間クリニックのみに留まっているようです。その理由のひとつが、導入される電子カルテが高価なオンプレ型であることだといいます。
そこで同社は、地方部をはじめとした中小規模のクリニック向けに「MEDi」を開発。導入コストを抑えるためにオンプレ型ではなくSaaS形式で提供することにしました。また、日本式医療をベースとした各種診療支援機能を実装することでコスト面以外の付加価値を提供しようというのです。なお、同社のこの取り組みは、ベトナム政府保健省および日本の経済産業省・JETROから支援を受けています。
PR TIMES
(文・Higuchi)