本実証実験では、4Kカメラを用いた河川の監視カメラ画像から、河川の水位を推定するAIのモデルを構築。±3.6cmの誤差での水位の推定を実現しています。
災害の多い日本、防災分野におけるAI活用の重要性
日本は自然的条件から水害等の自然災害が多く、台風やゲリラ豪雨による河川の氾濫などによって痛ましい被害が多く発生しています。一方で、中小河川を多く管理する地方自治体では、限られた職員で情報をすばやく収集する必要があり、ひとりひとりの負荷が高いのが現状です。
そんな中、災害発生時における被害状況の把握、河川監視等でのAI活用の重要性が高まっています。
さまざまな水位をデータ化、より高精度な予測を実現
今回の実証実験では、ピクセル単位で何が写っているかを分類することができる「深層ニューラルネットワーク」の技術を利用。河川を写した画像内を「水面」「護岸」「それ以外」に分類し、水位を測定しています。本実証実験における短いデータ取得期間では、天候の変化が乏しく水位のバリエーションが少ないため、高精度なAIの構築に課題がありました。そこで、実際の画像を元にさまざまな水位の状態を再現したCG画像を制作しデータを増強。
実験は3つの地点で実施し、2地点でそれぞれ、±3.6cm、±3.74cmの誤差で水位の推定に成功。1地点では±15.32cmの誤差となりましたが、夜間の光量不足による水位予測の精度低下が要因と特定されており、反射板の設置により解消可能と想定しているとのことです。
今回は栃木市での実証実験でしたが、ゲリラ豪雨や台風が増えるこれからの季節に、その他の地点や河川での活用が期待されます。
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(文・Saki Amano)