軽負担で深部温度を測定
熱中症の予兆の判断には、脳や内臓など身体の中心部分の温度(深部温度)計測が有効とされていますが、これは検温機器を挿入して直腸温を測るのが一般的なため、工事現場などでの作業者には不向きと言えるでしょう。そこで、MEDITAが開発するウェアラブルセンサーを活用した「熱中症予防管理システム」で、作業者の身体的負担を抑えながら深部温度を計測し、熱中症を予防しようというのが今回の実験です。同システムは、装着したウェアラブルセンサーにより臍部(へその部分)周辺から深部体温の近似値データを連続して取得・解析することで、熱中症発症の兆しを検出するというもの。取得した値を常時スマートフォンとサーバーに送信し、熱中症発症の判断点となる体温急上昇などの異変が発生した場合は、本人と現場の職長、元請社員にアラートを送るという仕組みで、本人に自覚症状がない場合でも、周囲から休憩や給水を促すことが可能となります。
同実験は、暑さの異なる8月と10月の2回を予定。取得データの精度や作業中の装着感の調査を行い、実証データをもとにセンサーやシステムに改良を加えて高精度のシステムを構築していく構えです。
MEDITAに集まる期待
MEDITAは、2017年の創立以来「体温」を軸とした事業を展開する研究開発型ベンチャー(2021年7月にHERBIOから社名変更)。へその周辺温度と深部体温の相関性を確認し、現在はウェアラブルセンサーの開発と体温データの解析・研究(深部体温コンサルティング)などに取り組んでいます。同社のデバイスは、2020年6月に「令和2年度グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業費補助金」に採択されたことで量産化も検討されているようです。その他、2020年7月には経済産業省特許庁主催「知財アクセラレーションプログラムIPAS2020」に、2021年4月には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施した「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援(NEDO STS)」に採択されています。なお同社のデバイスは、大正製薬やサントリーなどに研究端末としてリースされているようです。
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(文・Higuchi)