インフラ保守を効率化
同コンペでHACARUSは、インフラ設備の状態を衛星画像によって即座に分析し、遠隔操作での監視と保守を可能にするAIシステムを提案。これは、ヒートマップやバウンディングボックスなどの機能を備え、設備監視・保守作業にかかる負担を軽減できるというシステムです。従来の保守システムでは、あらかじめ定められた期間で定期メンテナンスを行ってきましたが、同システムを活用することで設備の実際の状況にあわせたメンテナンスを実施することができるでしょう。このシステムのインフラ保守に対する革新的なアプローチが評価され2位を受賞しました。
なお同社は、2020年9月にドイツ鉄道主催の新しい建設技術の研究開発プログラム「DB mindbox」に採択され、DB Netz社と共同で地中の状態を画像解析するAI開発に着手。画像分析により地中の物体検出を支援できるAIモデルを構築し、2021年4月にプログラムを完了しています。
スパースモデリングを応用したAI
HACARUSの強みは、スパースモデリング技術を応用したAIにより、少ないデータでも高精度のAIソリューションを構築できるということ。扱うデータが少量のため低負荷で、既存環境で実行できることも少なくないといいます。またこのAIは、導出した結論に至った「理由」をフィードバックすることができるといいます。「なぜそうなったか」を説明する、つまり「知」を可視化するということは、ディープラーニングを活用したAIではできなかったことで、次の展開への応用も期待できるでしょう。
これまで同社は、主に製造業・医療の領域に対してAIソリューションを提供してきました。例えば、工場などでの外観検査や打音検査、HSI(ハイパースペクトル画像)を活用した品質監視などを行う検査関連サービス「HACARUS Check」など。また、国立大学法人京都大学と共同で「子宮頸がんの予防・早期診断AI支援システム」を研究したり、国立大学法人神戸大学と共同で「肝細胞がんのMRI画像解析と診断支援AI」を研究したりもしています。
今回の受賞に対して代表取締役CEO 藤原健真氏は「少ないデータでも使えるAIを構築できるハカルスの強みを、製造業・医療以外の分野にも応用できることを明白に示すことができました。急成長を続けるであろう宇宙産業においても、革新的なソリューションを提供できるよう引き続き邁進してまいります」とコメントしました。
PR TIMES
(文・Higuchi)