今回はこういったバトロワゲームの歴史からヒットの要因までをまとめて解説します。
バトロワゲームの定義と歴史
まず、バトロワゲームの定義ですが、ゲーマーの間では「複数人~100人程度のプレイヤーたちが1つのフィールドに入って、最後の1人(1チーム)になるまでサバイバルを続ける」というのが一般的な共通見解になっていると思います。もちろん、現代のバトロワのプレイヤーたちはインターネットで繋がっていて、世界中のプレイヤーが1つのフィールドに集まってサバイバルバトルを繰り広げます。ですが、上記の定義を広義で考えれば、1990年にPCエンジン版として登場した『ボンバーマン』がバトロワゲームの元祖ではないかと思います。
PCエンジン版の『ボンバーマン』は最大5人での対戦が可能で、爆弾を設置してその爆風に巻き込むことで相手をやっつけ、最後の1人になるのを目指します。
その後、スマブラの略称でおなじみの『大乱闘スマッシュブラザーズ』が登場。本作も最後の1人になるという意味ではバトロワゲームと言っていいと思います。とはいえ、現在のバトロワのイメージとはちょっと違いますよね。
おそらく、現代のバトロワゲームの狭義のイメージは、「フィールド内にランダムに点在する武器やアイテムを拾い集めながら、時間によって狭まっていく安全地帯に移動しつつ、最後の1人(1チーム)になるまで生き残るゲーム」だと思います。
この定義で考えると、おそらく元祖的タイトルは『PlayerUnknown's Battlegrounds』(PUBG)だと言えるでしょう。2017年12月に正式サービスが開始されたPUBGは、当初はPC版のみでスタート。その後、家庭用ゲーム機版、スマホ版(PUBGモバイル)を展開しています。
PUBGが世界的に大ヒットを記録したこともあって、これを契機に多数のバトロワゲームが市場を賑わすことになります。バトロワに建築要素を加えた『フォートナイト』、中国開発の『荒野行動』、キャラに能力付けをした『Apex Legedns』など、ゲーマーでなくても聞いたことがあるタイトルが続々と登場し、「バトロワ」という1つのゲームジャンルを確立していきます。
ここで挙げたタイトルはどれもグラフィックがきれいで面白いゲームですが、それだけではヒットは望めないのが現在のゲームの世界。厳しい競争がある中、これらのバトロワゲームがヒットした要因はなんなのでしょうか?
基本プレイ無料のビジネスモデル
スマホゲームではもはや当たり前の「基本プレイ無料」(アイテム課金制)のビジネスモデルですが、ここで挙げたヒットバトロワゲームはすべてこのスタイルです(PUBGは有料ですが、モバイル版は基本プレイ無料)。ゲーマーにとって基本プレイ無料は開始までのハードルが低く、自分にあった1作を見つけやすくもあります。課金要素としては、キャラクターや武器などの見た目を変更するためのスキン販売が一般的で、「課金をする=強くなる」ではないこともあって、プレイヤーの腕前がゲーム内に反映されるシステムも受け入れられています。
プレイヤーとしても視聴者としても楽しい
ここ数年、新型コロナウイルスによる影響で巣ごもり需要が増え続けていますが、ゲームにもこの影響が色濃く出ています。従来は「ゲーム=プレイするもの」という認識が一般的でしたが、「ゲーム=視聴しても楽しむ」という図式ができあがってきました。実際、YouTubeを始めとする動画プラットフォームでもゲーム実況やゲーム配信は1つのジャンルとして人気を獲得していますし、タレントがゲーム配信をして数万人の同時視聴者数を記録することも珍しくありません。
バトロワというジャンルは、ゲームルールがあまり複雑ではないことに加え、安全地帯が狭まっていく様子や誰かに狙われているのではないかという緊張感もあって、視聴する側も楽しめる要素が満載です。
視聴コンテンツとして向いており、一発逆転のチャンスがあってダレることなく見ていて楽しいのもヒットの要因でしょう。
eスポーツタイトルとしての盛り上がり
今や大手企業も続々と参入しているeスポーツの世界。このeスポーツでもバトロワタイトルは人気となっています。NTTドコモが運営するeスポーツリーグ「X-MOMENT」ではPUBGモバイルが採用されてますし、今年5月に終了した『荒野行動』の「荒野王者決定戦」では、賞金総額の最大上限1億円という夢のあるイベントも行われました。2021年下半期も、各社からバトロワタイトルの新作投入は続く見込みです。どんな新作で私たちを楽しませてくれるのでしょうか?
(文・辻英之)