小菅村での取り組み
エアロネクストは小菅村との協定後、同村に物流ドローンの研究開発拠点兼試験飛行場を設置し、ドローン配送定期ルート(ドローン実験線)を開設。同社とセイノーホールディングス株式会社が共同で開発を進める、既存物流とドローン物流をつなげ、地上と空のインフラを一体化させる物流の仕組み「SkyHub」の実証を行ってきました。その中で、村民からの告知方法や配送品目などサービス全体に対するフィードバックをもとに細やかな改善を重ね、1地区1飛行ルートではじまった配送エリアを4地区5飛行ルートまで拡大。1日の配送頻度を格段に増やすと共に目視外飛行も実現し、ついにドローン配送回数が100回に達しました。
同社はこの成果を記念して村民に吉野家の牛丼を提供。橋立地区のドローンデポに駐車された吉野家のキッチンカーで調理された牛丼を専用ボックスに格納して約15~20分間隔で2地区4ルートへ向けて配送しました。計6回の飛行で届けられた牛丼16個を含む計150個の牛丼が提供されたようです。
「4D GRAVITY」という技術
エアロネクストの強みといえば重心制御技術「4D GRAVITY」でしょう。これは、飛行部(プロペラ・モーター・アーム)と搭載部(カメラ・荷物など)を物理的に分離し、機体の向きに左右されない荷物の水平輸送を実現する技術。従来、機体が傾むくと重心が移動するので一部のモーターに負荷がかかりますが、この技術を活用することでモーターにかかる負荷(回転数)を均一化し、飛行速度・飛行距離・配送可能重量・配送品質のレベルアップを実現します。
この「4D GRAVITY」を搭載した物流用ドローンの開発と量産に向け、同社は2020年8月に株式会社⾃律制御システム研究所(ACSL)と共同開発契約および「4D GRAVITY」特許群のライセンス契約を締結。2021年3月には最新試作機を発表すると同時に、株式会社ACCESSを加えた3社で物流用ドローン向けのソフトウェア開発を進めることを明らかにしています。今回の牛丼配送に使用されたのはこのとき発表された最新の機体とのことです。
ちなみに、神奈川県の横須賀市立市民病院協力のもと、この機体を使用した温かい牛丼のオンデマンドドローン配送の実証実験も実施しています。
ドローン配送の社会実装には、法整備や技術面などまだまだ課題はありますが、同社代表取締役CEOの田路圭輔氏は着実に実現に向かっていると認識しているようです。先日Techable(テッカブル)では、田路氏へのインタビューを行っているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
PR TIMES
(文・Higuchi)