そんな中PicoCELA(ピコセラ)株式会社は、三河湾ネットワーク株式会社およびSCSK株式会社協力のもと、エンタープライズ無線メッシュ技術を活用し、株式会社ラグナマリーナが管理する7haにもわたる広大な海洋上をWi-Fi化することに成功しました。
コストや潮の満ち引きに関する課題を解決
PicoCELAの無線メッシュは、基地局間を無線で中継し、LANケーブル配線量を削減する技術。従来、基地局を敷設する際、それぞれにLANケーブルを引っ張ってくるのですが、これには莫大なコストがかかります。実際に、同マリーナすべてをカバーするLAN敷設の見積もりは1000万円以上にもなるとか……。そこで、無線メッシュを活用し、LANケーブルを減らすことでコスト削減を図りました。具体的には、7haの対象エリアに対してPicoCELAの屋外無線LAN「PCWL-0410」を5台導入し、これらを無線メッシュで接続したということです。
コストの他、潮の満ち引きによって上下する浮桟橋でのケーブルの設置や取り扱い、電源に海水がかからないような工夫など海上ならではの課題もあります。これらの課題については、三河湾ネットワークが電源ボックスの取付位置を工夫し、桟橋の上下に合わせてケーブルの長さが一定になるような設備を導入し、解決しました。
5G時代の無線メッシュの重要性
このたび活用された無線メッシュは、5G時代の課題のひとつを解決する糸口となり得る技術です。5Gの「超高速」を実現するためには、多くの基地局設置が必要になります。しかし、先述の通り、従来のLANケーブルを敷くという基地局の設置方法では莫大なコストがかかり、それに投資する通信キャリアにとっては「回収」が現実的ではない数字になる可能性もあるようです。これまで通り、ユーザーから「通信料」として回収を図りたいところですが、昨今の値下げの流れを考えるとやはり厳しいということでしょう。
そうなると、設置コスト削減の方法を模索するのは自然な流れなのかもしれません。これを実現するのが無線メッシュということです。
PicoCELAの無線メッシュはこれまで、サンフレッチェ広島F.Cのホームスタジアムである「エディオンスタジアム広島」や、西松建設株式会社が手がける山岳地の太陽光発電建設地(67ha)、株式会社AbemaTVが協賛した国内有数の屋外音楽フェスなど、多くの導入実績を有します。
Techable(テッカブル)では、PicoCELA代表の古川浩氏にインタビューを行い、「5Gが抱える課題」についてお話を伺っているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
PR TIMES
(文・Higuchi)