そんな「TELEXISTENCE」を社名とするTelexistence株式会社は、人々が場所を問わず労働参加できる基盤構築を目指し、半自律型遠隔操作ロボットおよび拡張労働基盤(Augmented Workforce Platform、以下AWP)を開発中。
現在、会長の舘 暲氏をはじめ、米国カーネギーメロン大学教授の金出武雄氏、東京大学教授や日本ディープラーニング協会理事長を務める松尾豊氏、慶應義塾大学大学院教授の南澤孝太氏らをアドバイザーとして、人間の存在を拡張する技術システムの実現に向け、開発・検証を進めています。今回はそんな同社にフォーカスしてみましょう。
人と同じように動く「Model-T」
同社は、人々の遠隔就労プラットフォームとも言える「AWP」の実現に向けて、2020年7月に半自律型遠隔操作ロボット「Model-T」を開発しました。同ロボットは、狭い小売店舗空間内でも商品陳列などの作業ができるよう、ロボットの胴体・アームに22自由度の関節を実装。人間のような動作が可能なため、店舗環境の改修を最小限に抑えられ、小売業の本来の経済性を毀損しないというメリットがあるようです。
通信に関しては、株式会社KDDI総合研究所と共同で、ロボットと操縦者間の映像伝送において、ロボット側のカメラから操縦者側のディスプレイに表示されるまでのEnd-to-End遅延として業界最高水準の50ミリ秒を実現。これにより視覚と身体感覚との操作のズレをほぼ感じず、動きの速い対象物に対する正確な操作や身体的直感に即した操作が可能になります。
「Model-T」は、都内のファミリーマート店舗にて商品陳列の実証実験を行い、2022年までに最大20店舗への導入が見込まれているようです。
物流施設向けの「AWP」開発へ
同社は次に、物流施設業務向けの「AWP」とその社会実装を実現する遠隔操作ロボットの開発に挑んでいます。この「AWP」が実現すれば、作業員は倉庫内に設置されたロボットをインターネット経由で操作でき、物理的に立ち会うことなく積み上げや荷下ろしなどの労働力を提供することが可能となるわけです。同社は現在、物流分野向けに開発した遠隔操作ロボットのトライアル導入の準備と製品試作を推進中。そしてこのたび、製品開発チームの拡大や、製品開発・導入の加速を目的として、株式会社モノフルのグループ会社をはじめ、KDDI Open Innovation Fund、複数の新規投資家(非公開)らを引受先とするシリーズA2ラウンドで約22億円を調達。2017年の創業以来の資金調達総額は約45億円となりました。
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(文・Higuchi)