同サービスを開発したのは、京都大学教授で名古屋工業大学の客員教授でもある伊藤孝行氏。知能情報学を専門とし、人工知能、特にマルチエージェントシステム・集合知における国際的権威者です。
AIファシリテーター
「D-Agree」は、AIによるファシリテーション支援により、オンライン会議などにおいて意見集約や合意形成をサポートするプラットフォーム。AIが自動的に議論のファシリテーションを行うため、大規模な会議であっても、リアルタイムに意見集約ができるといいます。集まった意見はAIによる議論内容の抽出・構造化・分析を経て、有意義な議論展開に役立てることが可能です。ユーザーは、議論したいテーマを登録し、自身の意見を添えて発信。参加者との深いディスカッションを実現するため、AIが「このアイデアの長所は? 」「実現するための方法をみんなで考えましょう」などのフォローをしてくれます。議論中の発言は「アイデア」「課題」「問題提起」などに分類され、図として可視化されるため、途中参加した人でも直感的に議論の流れをつかむことができるでしょう。なお、同サービスは国際特許を取得しています。
導入事例と公開中のディスカッション
同サービスは、内閣府グローバルアクセラレーションプログラムで採択され、β版をリリース後、国内の教育機関や行政および海外で導入されています。例えば、アフガニスタンでは、宗教上の理由で物理的に集まることができなかった人もいた市議会などで活用され、幅広い人の意見を集約・合意形成することに貢献。大学などの教育機関では、教育DX・研究テーマの相互フィードバック・グループ内合意形成などで活用されているようです。
正式提供となった現在も、自由に閲覧・参加可能なオープンディスカッションが公開されています。その中に「コロナ禍による社会変革に地域間連携で立ち向かうには? 」というテーマがありました。具体的には、パンデミックを乗り切るための社会変革には、地域を超えて協力する必要があると考える発信者が、「誰と誰がどんな連携をする必要がありそうか」ということを問うものです。これに対し「産学官連携をより密に」という意見などが寄せられています。
また、このテーマでの議論の中で「コロナ禍がメンタルヘルスにおよぼす影響」について言及した返信がありました。すると、本来のテーマから少しズレたこの発言に対し、AIが「◯◯さん投稿ありがとうございます。 課題はどのように解決できるでしょうか? 」などその課題にフォーカスを促すようなコメントを送信。ある程度意見が出てきたあたりで、要点をまとめるようなコメントも見られました。
大勢の意見を集約し、合意形成するという作業はなかなか骨が折れるといいます。同サービスがこの役割を果たしてくれるとなると、より効率的で深い議論が展開できるかもしれません。
PR TIMES
(文・Higuchi)