そこで、養豚農家のDXを進める株式会社Eco-Porkは、同社の既存サービスで取得したデータを活用し、健康な豚をより多く飼育できる高生産効率の環境状態を導出する第一歩として最適化アルゴリズムを構築すると発表しました。
2つのデータを統合
今回活用されるデータは、養豚経営管理システム「Porker」とIoT豚舎環境モニタリング「Porker-Sense-」から取得したものです。「Porker」は、PCやスマートフォンなどのモバイル端末から農場データ・農場情報・農場作業のスケジュールやコスト管理・個体の識別と検索などの記録・可視化ができるサービス。一方「Porker-Sense-」は、LoRaWAN技術を活用したIoTセンサーと専用ゲートウェイによって温度・湿度・熱量指数(豚の不快指数)を計測し、リアルタイムに豚舎の環境状態をモニタリングできるサービスです。
今回はこの「Porker」に蓄積された「飼育成績・疾病データ」と、「Porker-Sense-」に蓄積された「豚舎環境データ」を統合し、豚の高生産効率な飼育環境を導出するためのアルゴリズムを構築していきます。
養豚農家を包括的にサポート
Eco-Porkのこのたびの取り組みは、農家が抱える最適な飼育環境の整備に貢献し得るものでしょう。しかし、健康な豚をより多く生産するためには、環境だけでは不十分なところもあるようです。もちろん同社もそのことに着目し、すでに2つの実証事業を完了しています。そのひとつめは、2020年10月に採択された熊本県菊池市の「令和2年度菊池市アグリ技術実証事業」。同社開発のIoT温湿度センサーおよびIoTカメラシステムを活用した「IoTカメラによる野生動物の侵入監視と遠隔監視」により、夜間の見回りの削減など作業効率改善に寄与したといいます。
もうひとつは、2020年9月に採択された農林水産省の「令和2年度農林水産業等研究分野における大学発ベンチャーの起業促進実証委託事業」。この事業では、鹿児島大学と共に複数農場間のウイルス検知・感染症リスク情報から地域防疫強化を図る技術シーズ「養豚ウイルスの効率的検出・分離法」に取り組みました。
このように、野生動物やウィルスといった外敵から豚を守る仕組みと、豚舎などの環境づくりの指標を構築することで、養豚農家のコスト削減・生産性向上を包括的にサポートしていけるのではないでしょうか。
PR TIMES
(文・Higuchi)