実証成功、そして次のフェーズへ
「Type-Aプロトタイプ」は、2020年に開発した2mクラス無人操船ヨット「Type-A」の実証機として、これまで機動性テストや滞在型テスト、長時間稼働テストを行っています。2021年1月からは、逗子市協力のもと逗子海岸の湾内にて船体の動作確認、あらかじめ設定したウェイポイント(経由地)に沿って移動させる自動航行などを実施してきました。
そしてこのたび、神奈川県葉山町小浜海岸から逗子市逗子海岸への1000m区間を、救援物資・医薬品に見立てたプリンなど約1.5kgを自動帆走で運ぶ実証実験を行い、見事成功。自動帆走技術により帆と舵を自動制御し、航路に沿って風力だけで目標地点に到達したようです。
同社は今回の実証実験の成功を受け、現在開発中の5mクラスのヨットを利用した100kgの貨物輸送実験を2021年夏ごろに実施する予定だといいます。
無人帆走技術の強み
今回の実験でも活用された無人帆走技術の大きなメリットは、人件費・燃油代がほぼゼロということ。従来、高コストとされてきた小型舟艇の運行を低コストで実現し、分散化することで多種多様なニーズに対応できるといいます。また、小型帆船は港湾施設がない場所でも砂浜に着岸できるというのも魅力でしょう。さらに、飛行型ドローンに比べペイロードが大型のため、飲料水のような重たいものやトイレットペーパーなどかさばる日用品などの運搬に適しているのもポイントです。これらの特徴を踏まえ、今回の実験は、離島への貨物輸送や土砂災害で道路が分断され孤立する沿岸部の市町村に救援物資を届けることを想定して行われました。
最終目標はエネルギー輸送
エバーブルーテクノロジーズの最終的な目標は、海上水素サプライチェーン「Hydroloop(ハイドロループ)」の構築。電気自動車などの普及に伴い需要が増加すると見込まれる「電力」を、海上の再生可能エネルギーを利用して製造した水素でまかなおうというのです。その際、水素を運搬する手段として帆船型ドローンが有効であるとしています。現在はエネルギー輸送に乗り出す前段階として、「Type-A」の量産体制の構築や飛行機能を備えたヨット型ドローン「Type-P」の開発・実証などに注力しているところです。このあたりのことは、同社代表・野間氏へのインタビューも含め、Techable(テッカブル)でも紹介しているので、興味のある方はぜひこちらへ。
PR TIMES
(文・Higuchi)