BnFとDNPは、リシュリュー館の2022年のリニューアルオープンに先駆けて2021年4月15日~7月11日の期間、DNP五反田ビルにて両者のミュージアムラボ 第2回展となる「これからの文化体験」を開催中。同展覧会では、新型コロナウィルスの影響によりBnF所蔵作品の実物展示はなく、デジタルデータを活用した新しい文化体験を提供していく。
作品・空間をデジタル化
同展覧会の見どころは、これまで困難だった「光を反射する素材の作品」や「大空間の細部」を3Dデジタル化しているところだろう。例えば、BnFの歴史的空間「マザラン・ギャラリー」の天井画(幅8m×奥行45m)のデジタル化においては、カメラの撮影角度を自動で制御する独自のシステムを構築し、超高精細(940億画素=8千万画素×1,183枚)な撮影を実現。細部の鑑賞に堪えうる高品質なデジタル作品が完成したという。今回の展覧会のデジタル作品は、2016年開催の同ラボ第1回展で開発した、多方向から撮影した写真をコンピュータで解析し3D画像とするフォトグラメトリ手法を拡張し、対応できる素材のバリエーションを増やしたことで実現したようだ。
4つの鑑賞システム
こうして再現された作品はVRを活用してインタラクティブに鑑賞可能。同展示会に向け開発された「DNPコンテンツインタラクティブシステム」の4種類の鑑賞システム「みどころシリーズ」がそれを実現する。注目したいのは、ウエアラブルデバイス「みどころグラス」。メガネ型のデバイスを装着すると目の前にデジタル化された作品が表示されるというものだ。また、ユーザーの動作に応じて疑似的に触れたり、位置や視点に応じて最適な解説を表示したりもできる。
そして、バーチャル空間を歩きながら鑑賞できる「みどころウォーク」も抑えておきたい。ヘッドマウントディスプレイを装着し、手すりをたどりながら実際に移動するとVR空間内を動き回っている体験ができる。このシステムのポイントは、実際の動きとは少し異なる映像を見せることにより空間知覚を操作する「リダイレクテッド・ウォーキング技術」を組み込み、限られた展示空間内でも、広大なVR空間を移動する体験ができるということだ。
ほかには、大型のディスプレイに表示される8Kの高精細な3Dデータを回転・拡大・縮小させ、肉眼ではとらえきれない細かい模様や質感まで観察できる「みどころビューア」や、立方体状のインタフェースを用いて、複数の作品同士の関連性など2Dでは表現しきれない「視点」を3Dで可視化し、ユーザーが興味をもったテーマで作品を鑑賞できる「みどころキューブ」が鑑賞システムとして導入されている。
大日本印刷株式会社