同調査は、首都圏を中心に2度目の緊急事態宣言が発令されていた2021年2月後半から3月上旬に実施。編集部が選定したキーワード(技術28・マーケティング29・消費28)に知見の深い外部アドバイザリーボード約50人と、日経クロストレンド・日経トレンディ編集部員など各分野の専門家に対して各キーワードの「将来性」「現時点での経済インパクト」を問い、5段階で回答を得た。それを分析し、2つの軸でマッピングしたのが「トレンドマップ 2021上半期」だ。
「将来性」スコアが高かったのは?
「将来性」の5段階評価は、1が「低い」、2が「やや低い」、3が「どちらとも言えない」、4が「やや高い」、5が「高い」で実施。その結果、前回調査(トレンドマップ2020夏)と比較してスコアの伸び率が大きかったのが、「技術」では「量子コンピューター」「電気自動車(EV)」、「マーケティング」では「SDGs」「D2C」「クラウドファンディング」、「消費」では「マルチハビテーション」「サステナブル消費」となった。また、今回の調査から追加した新たな5つのキーワードの「将来性」は、「カーボンニュートラル」が4.22と最高スコアで、「エドテック」が4.19、「クッキー代替技術」が4.00、「音声SNS」が3.38、「サーキュラーエコノミー」が3.77という結果に。
「量子コンピューター」は現在のスーパーコンピューターなどより圧倒的に少ない回数の計算で瞬時に答えを導き出す。さまざまな領域での活用に期待が高まるなか、国内では2020年1月に「量子技術イノベーション戦略」が打ち出されるなど「Society 5.0」や「データ駆動型社会」といったスマートシティなどの実現へ向け研究開発体制が強化されている。このような背景からか、「量子コンピューター」の伸び率は群を抜いていた。
そのほか、「電気自動車(EV)」と「カーボンニュートラル」という関係性の深い2つのキーワードの将来性が高いこともチェックポイントかもしれない。
「現時点での経済インパクト」スコアは?
「現時点での経済インパクト」の5段階評価は、1が「どの企業も収益を得られていない」、2が「一握りの企業(1~2割程度)の収益に影響」、3が「一部の企業(3~5割程度)の収益に影響」、4が「大半の企業(6~8割程度)の収益に影響」、5が「社会全体になくてはならない存在」で実施。こちらも前回調査と比較してみると、「技術」では「コンタクトレス・テクノロジー」「電気自動車(EV)」、「マーケティング」では「動画マーケティング」「ダイナミックプライシング」、「消費」では「クラウドゲーム」「ワーケーション」が大きな伸び率となった。
このなかでも最もスコアを伸ばしたのが「コンタクトレス・テクノロジー」。2020年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅構内の無人コンビニ「TOUCH TO GO」や、目白駅に10月にオープンした紀ノ国屋の無人店「KINOKUNIYA Sutto」、羽田空港の1坪サイズの無人靴店などぞくぞくと非接触店舗が登場したことを考えると、このスコアもうなずける。
また、「電気自動車(EV)」は「将来性」に続きこちらでも大きく伸長。政府が進める「2050年カーボンニュートラル」の一環で「2030年前半、ガソリン車販売禁止」が打ち出されたことや、国内メーカーもEV化を進めていることなどからこのような結果となったのかもしれない。
「SDGs」「新型コロナウィルス」関連ワード
全体を通じて注目したいのが、「SDGs」関連キーワードの伸長だろう。幅広い領域で設定された17の目標に向け、政府・各企業・自治体などが精力的に取り組んでいる。今回の調査では「マーケティング」での「SDGs」をはじめ「技術」での「カーボンニュートラル」、「消費」での「サステナブル消費」「サーキュラーエコノミー」など新たに追加したキーワードも含め、高い将来性スコアをマークした。
もうひとつはやはり「新型コロナウィルス」関連のキーワードだろう。感染拡大から約1年が経ち、ニューノーマル時代ならではのキーワードが伸びてきている。
先述の「コンタクトレス・テクノロジー」のほか、「マーケティング」では「D2C」「クラウドファンディング」といったデジタル上で顧客とつながる手法や、「消費」での「マルチハビテーション」「ワーケーション」といった外出自粛・リモートワークが浸透する流れのなかで広がった概念など、今後も継続していきそうなものの将来性スコアは高い傾向にあるようだ。
PR TIMES
(文・Higuchi)