4月1日には、NTTコミュニケーションズのOCNモバイルONEや、IIJのIIJmioが新料金プランを導入。オプテージのmineoも、一足先に料金値下げに踏み切っている。シェアの高い大手MVNOはもちろん、それ以外も含め、一斉に料金が改定された格好だ。
IIJmio
MVNOでシェア最大手のIIJmioは、新料金プランの「ギガプラン」を導入した。サービス開始日にあたる4月1日は、既存ユーザーの申し込みが殺到。サーバーにつながりにくくなるといったトラブルも起こった。ギガプランは、2GBが858円と安く、MVNOの利用者が多い4GBのプランも1078円で利用できる。音声通話対応の料金プランは値下げ幅が大きく、データ容量も増えているため、既存のユーザーが契約しない手はないだろう。データ通信だけでいいなら、eSIMが安い。eSIMとは、端末に組み込まれたチップに、オンラインでキャリアの情報を書き込める仕組みのこと。フルMVNOになり、独自のSIMカードを発行できるIIJの強みを生かしたサービスだ。IIJは、普及促進のため、eSIMの価格を割安に設定。2GBで440円、4GBで660円と、激安価格を実現した。ahamoやpovo、LINEMOと同じ20GBでも、料金はわずか1650円だ。
OCNモバイルONE
MVNOのシェア2位(楽天モバイルのMVNOを除く、以下同)でIIJmioを追うOCNモバイルONEも、4月1日に料金を値下げした。料金体系をガラッと変えたIIJmioとは異なり、OCNモバイルONEは、既存の料金プランをそのまま値下げしている。新料金プランは1GBコースが770円、3GBコースが990円で、データ容量の区切り方は異なるが、水準はIIJmioのそれに近い。6GBコースは1320円、10GBコースは1760円だ。また、OCNモバイルONEは音声通話にも4月7日から新サービスを導入する。同社はプレフィックスの番号を付与してドコモ網を迂回する中継電話サービス「OCNでんわ」を提供しているが、これを利用する際の専用アプリが不要になる。理由は、ドコモが交換機側で自動的にプレフィックスの番号を付与するようになったためだ。交換機側で自動的にOCNでんわになるため、スマホに標準搭載される電話アプリでそのまま通話しただけで、料金は30秒11円に下がる。
OCNでんわには、3種類の音声通話定額サービス、準音声通話定額サービスが用意されているが、これも標準の電話アプリからの発信で適用されるようになる。中継電話サービスを採用し、通話料を値下げしているMVNOは多いが、ほとんどが専用アプリを必要としているうえに、完全音声定額を用意しているところは少ない。大手キャリア並みに充実した音声通話サービスは、OCNモバイルONEの売りになりそうだ。
mineo
シェア3位のmineoは、上位2社に先立ち、2月に新料金プランの「マイピタ」を導入済みだ。mineoは、ドコモ、au、ソフトバンクの3回線をそろえたトリプルキャリアMVNOだが、以前は料金が回線ごとにバラバラだった。マイピタでは、これを一本化したうえで、料金自体も値下げしている。音声通話対応の「デュアルタイプ」は、1GBが1298円。5GBが1518円、10GBが1958円、20GBが2178円となる。金額を比較すると、IIJmioやOCNモバイルONEより高めだが、3回線から選択できるのがmineoの強み。IIJmioはドコモとau、OCNモバイルONEはドコモのみで、シェア上位3社の中でソフトバンク回線を選択できる唯一のMVNOだ。ソフトバンクの端末を持っているユーザーの移行先として、有力な候補と言えるだろう。また、上位3社の中で、5Gオプションを提供しているのも、現時点ではmineoだけだ。
その他のMVNOも
大手3社以外にも、値下げや料金プランの大幅な改定を行ったMVNOは多い。例えば、イオンの提供するイオンモバイルは、1GB刻みで料金プランを選択できる「さいてきプラン」を4月1日に導入。同日から、エキサイトモバイルも、段階制プランの「Fitプラン」と、容量があらかじめ決まった「Flatプラン」の2つに料金プランをリニューアルした。ソニーネットワークコミュニケーションズのnuroモバイルは、4月1日に「バリュープラス」を導入。データ容量の選択肢を3GB、5GB、8GBの3つに絞って、料金を大きく値下げした。3GBプランは627円、5GBプランは825円、8GBプランは1320円と、大手3社より安い料金を実現している。MVNOは、データ容量の少ないプランが充実している傾向があり、大手キャリアより料金が安い。大容量プランが不要という人は、こうしたサービスを検討してみるといいだろう。
(文・石野純也)