遠隔地から罠をモニタリング
野生の鳥獣による農作物への被害や、人間の居住地域への出没被害が全国で問題になっている。凸版印刷によると「特に収穫前の被害は、営農意欲の減退による耕作放棄地増加の要因のひとつとなっており、被害金額以上に深刻な課題」という。さらに、有害の鳥獣対策を担う地元の狩猟者の高齢化は急速に進んでおり、設置した「罠」の日々の見回り作業の負荷が大きいことも問題だ。これらの課題を解決するために、凸版印刷は獣害対策を効率的に行える遠隔センシングサービス「リモワーナ™」の提供を開始する。これは、遠隔地にいながら罠の状況をモニタリングできるようにすることで、獣害対策に貢献するというものだ。
山間部でも安定的に通信可能
「リモワーナ™」の特徴は、イノシシや鹿が生息する山間部など電波が届きにくい場所に対しても、中継機を活用することで安定的に通信できる点。これは、凸版印刷が開発を進めるZETAのマルチホップ(メッシュアクセス)を活用することで実現しているという。また「くくり罠」や「はこ罠」など、既存の罠にセンサーの後付けも可能。罠センサーにはGPS機能が備わっており、PCやスマートフォンから、設置した罠の位置情報や罠センサーの作動状況をいつでも閲覧できるため、わざわざ見回りをする必要がなくなるというわけだ。自治体職員や狩猟者など複数メンバーでの情報共有も可能なため、より効率的な有害獣対策に役立てられる。
凸版印刷は、本サービスの販売開始に先立ち、遠隔獣害対策の実証実験を2020年11月より福島県大熊町で実施している。「高齢化」は現在、日本国内のさまざまな業種の課題だろう。凸版印刷のテクノロジーが、未来の害獣対策に大きく貢献することに期待したい。
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