イルカが立てる音や鳴き声に関する研究は、1960年代からずっと続けられてきた。イルカの研究者Denise Herzing氏が設立したWild Dolphin Projectでは、長年の調査と実験を経て、ついにイルカの声を即座に英語に翻訳するツールの開発に成功したと発表。
Herzing氏は25年間に渡って、ある特定のイルカの群れの調査をおこなってきた。2013年、イルカの群れと一緒に泳いでいるときに、そのツールを経由して“sargassum(海藻の一種)”という単語が耳に入ってきたという。
プロジェクトでは、Georgia工科大学教授でGoogle Glassの開発にも携わっているThad Starner氏が開発した、CHAT(Cetacean Hearing and Telemetry)というシステムを導入。人間の耳には聞こえない音域まで網羅する高精度の水中マイクが、イルカの発する音を録音する。
録音された音はソフトウェアによって解析。独自のアルゴリズムが、通常の状態から逸脱している音声を区分けしたり、明らかに特徴が一致する鳴き声をグループにまとめたりして、何らかの意思表示である可能性があるパターンを抽出する。すでに73のサンプルの中から、8つのパターンを見つけるのに成功しているという。
また、1990年代後半以降には、イルカの声を真似た人工音声を用いて、イルカの群れとコミュニケーションを取る実験が実施されている。イルカと人間が、双方向に意志を伝達し合う時代も、もうすぐ来るのかもしれない。楽しみである。
Wild Dolphin Project