本実験はマインドワード社と共同で行っており、2021年度に在留外国人・訪日外国人に向けたサービス展開を目指しているという。
AIによる「自然」な翻訳
近年、在留外国人が増加しており、多言語コミュニケーションへのニーズが高まっているのは周知の通りだ。特にディープラーニングの活用により翻訳精度が劇的に向上しており、AIによる翻訳も徐々に「自然」になってきている。
一方で現在、ニュースは正確性を重視するため「人手での翻訳」が主流になっており、凸版印刷によると「大量のニュースを翻訳するのは困難な状況」だという。ニュースはリアルタイム性が命ともいえるため、翻訳への対応が課題となっている。
この課題に対応するため、凸版印刷はニュース記事の翻訳に特化した「統合型機械翻訳システム」の構築とAPI化、そして同API化を利用したニュース翻訳配信プラットフォームの構築を行ってきた。今回の実験では、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)からの委託研究で開発したニュース記事専用の自動翻訳システムを活用。ニュースを信頼性の高い英文で配信し、将来のサービス化に向けた課題分析を実施する。
LINEを通じて配信
本実験は3月31日まで行われる予定だ。1日あたり100記事程度の翻訳を行い、LINEアプリなどを通じて英語記事をリアルタイム配信していくという。凸版印刷はニュース配信の運用、連携するマインドワード社は自動翻訳エンジンの設計、時事通信社は日英・和文などのニュース記事データの設計を行う。
今後の展開として、本実験を通じて得た知見を活用し、日本語ニュース記事の自動翻訳配信(英文)のサービス化を目指している。さらに、日本語ニュース記事の多言語翻訳配信や、海外ニュース記事の自動翻訳による日本語配信サービスの検討も行い、多言語コミュニケーションの課題を解決する事業を拡げていくという。