ケンブリッジ大学の研究者らは、10万個の量子ビットから成る雲に、壊れやすい量子情報を保存する技術を開発した。
単一電子を牧羊犬のように活用
研究者らの開発した手法は、レーザーを使用して単一の電子と通信。原子核の雲の状態を制御して、保存した量子情報を読み取りやくするものだ。量子情報を読み取るには、核スピンの状態を検出する必要がある。しかし、それらはランダムに反転する傾向があり、ノイズがあると正確な読み取りは困難だ。
雲がランダムに動く10万頭の羊の群れだとすると、その中の一匹は見つけづらい。そこで研究者らは、電子を牧羊犬のように活用して群れに秩序を与えることで、方向を変える一匹の羊を目立たせる手法を考案した。
100万分の1以上の精度で量子情報を検出
テストにて研究者らは、1.9ppm(100万分の1.9)の精度で量子情報を検出できた。これは、原子核10万個を含んだ雲の中から単一の量子ビットを検出するのに十分な精度だという。同手法は、量子力学に従う光学特性を持つ半導体「量子ドット」への量子情報保存を可能にする。
研究者らは次のステップで、レジスタに任意の量子ビットを保存して読み取る計画。これに成功すれば量子インターネットの重要な構成要素、量子メモリが実現するという。
参照元:Light used to detect quantum information stored in 100,000 nuclear quantum bits/ University of Cambridge