発話障害のある人々がよりスムーズな自己表現ができるように、「VocaliD」というプロジェクトが開始されているという。発話機能の健常者が自分の声を寄贈することで、障害がある人の助けとなる。
まず、“声”を希望している人がいるとしたら、その人物の性別や年齢に近いドナーが選択される。言わば、その人の体格に合った義肢を選ぶのと同じように、人物にフィットした“声”を選ぶというわけだ。
選ばれたドナーは、『オズの魔法使い』のような著名な本から抜粋された、何千もの文章を読み上げる。スタンダードな音声サンプルを作成するのには、最低でも800の文が必要で、比較的自然に聞こえるレベルにするには、およそ3000の文が必要だという。
それらの記録された生の声は、ModelTalkerというソフトウェアによって解析される。話すのに最小な単位まで、文章は分解されていき、それから“新しい声”として組み替えられていく。
今後、ドナーが音声サンプルを提供しやすいように、専用のiPhoneアプリを開発することや、子どもの音声サンプルを集めやすくするため、ゲームのように遊んで楽しめるバージョンの開発も検討中とのこと。現状では、まだ数タイプの音声しか用意されていないが、障害者にもたらす有用性は高く、このプロジェクトの意義は非常に大きなものであろう。世界中のドナーから音声を集め、“声の銀行”としての役割を果たしたいと考えているという。
VocaliD