パラボラアンテナを折り畳めれば、重ねてロケット内に保管できるだろう。意外にも、これまで折り紙エンジニアリングを衛星用アンテナの構造に持ち込んだ例はほとんどなかったという。
コンパクトなアンテナを利用する際に展開できる設計
衛星用アンテナにはさまざまな形状があり、なかには電磁波を収束および送信の際の指向性を高めるべくボウル型をしたものもある。電磁波の送受信にとって機能的なこの形状は運搬の際に仇となる。研究チームは、折り紙エンジニアリングによってアンテナをコンパクトにしようとした。この手法では、平らな2D形状でアンテナを運搬し、利用する際には3D形状に展開できる。
ただし衛星用アンテナには厚みがあり、折り目をつけるのは簡単でないという。従来の折り紙エンジニアリングでは、薄いシートに折り目をつけて折り畳んでいた。
材料に形状記憶ポリマーを採用
そこで研究チームは、加熱によって変形する形状記憶ポリマーを材料に取り入れ、これをベースにして2D形状から3D放物線形状を作成している。この材料が傘の骨のように機能し、体系的にアンテナの折り目を形成するようだ。さらには、これらの材料は安価で軽量、柔軟性があり、損傷することなく複数回伸ばすことができるという。
研究チームは、折り紙で設計されたパラボラアンテナが従来の滑らかなパラボラアンテナと同じくらい効率的に機能することを示した。同技術の進展と、折り紙アンテナの実用化に期待したい。
参照元:Researchers create origami-inspired satellite antennas that can self-fold/ Texas A&M University