SUVの減少傾向が響く
12月の欧州の新車市場は、さらなる落ち込みで2020年を締めくくった。世界27カ国のデータによると、2020年12月の販売は約120万台となり、前年同月比3.8%減となった。11月に比べると小さい減少ではあるものの、通年の累計販売は約1194万台で24%減となり、全体的な減少傾向を相殺するまでには至らなかった。JATOによると、欧州の年間での新車販売台数が最後に1200万台を下回ったのは、今から30年近く前の1993年だ。同社グローバルアナリストであるFelipe Munoz氏は「業界は2019年の最後の数ヶ月ですでに衰退の兆しを見せていた。そこに、新型コロナウィルスの感染拡大が影響し、その傾向を加速させる結果となった。消費者が車を購入できないロックダウン状態にあることから、欧州新車市場は前例のない環境に移行しているといえる」と語っている。
12月の販売台数の減少は、イタリア、フランス、イギリスでSUVが2桁の減少となったことに起因しているようだ。昨年の12月の結果と比較すると、SUVのマーケットシェアは41.7%から40.2%に減少。ここ数年新車市場を牽引する存在だっただけに、ダメージは大きい。
電気自動車が希望の光に
一方で明るい兆しもある。電気自動車の需要が旺盛で、2つのモデルが欧州のモデル別販売台数ランキングのトップ3にランクインしたのだ。注目のEVである「フォルクスワーゲンID.3」は月間約28000台を販売し、定番の「フォルクスワーゲン ゴルフ」に次いで、欧州で2番目に販売台数の多いモデルとなった。「フォルクスワーゲンID.3」は特にオランダ、スウェーデン、オーストリアで販売台数トップを記録し、ドイツでは3番目、イギリスでは4番目、デンマーク、ノルウェー、ルクセンブルクでは2番目に売れたモデルに。
同じく電気自動車の「テスラ モデル3」が、12月の総合ランキングでその後に続いた。Munoz氏は「ヨーロッパでは今、電気自動車革命が起きようとしている。12月の結果は、電気自動車が適切な価格で販売されれば、消費者を引き寄せられることを明確に示している」と述べ、EV市場の未来に期待を寄せた。
PR TIMES