こうしたアイデアを実現すべく、スイスのシオンに本拠を置くEPFLのエネルギー材料グループ(GEM)の科学者らは、電力網および天然ガスグリッドを利用した電力供給の最適化モデルを考案している。
バイオマス資源を最大限に活用するためのアプローチ
余剰電力を有効活用すべく、電力需要があるときには、地域で生成したバイオマスから電力を生成、夜間など電力需要がないときには、水素またはメタンを生成して天然ガスグリッドに注入するとのアプローチがある。GEMでは、電気をメタンとして貯蔵し、メタンを電気に戻すPower2Gas(P2G)技術を研究開発しており、バイオマス資源を最大限に活用したいと考えた。
こうした背景から科学者らは、「多目的モード」で機能するバイオマスプラントと電力網を対象に、条件ごとの最適な設計を考案している。
バイオマスプラントを地域の再エネシステムに追加する
北ヨーロッパの代表としてデンマークを、南ヨーロッパの代表としてイタリアを設定し、この2か国の条件にモデルを適用したようだ。地域の電力需要、利用可能なバイオマス資源の量と種類、輸送コストおよびその他の多くの要因を評価。効率的なグリッドバランシングアプローチを開発した。同アプローチは、とりわけ太陽光や風力など、気象条件に依存するほかの再エネシステムと組み合わせて利用する際に役立ち、電力ギャップを補う。バイオマスプラントのシャットダウンなしに継続運用が可能。需要に応じてリアルタイムで供給を調整できる。
GEMによるアプローチは、バイオマスプラントを地域の電力網に追加する方法を提案。電力の安定供給およびバイオマス資源の有効活用に活かせそうだ。
参照元:Biomass-driven technology allows for enhanced energy conversion/ EPFL News