今回は、これまでの同社の取り組みにフォーカスしていこう。
順調にポート拡大中
「LUUP」は、小型電動アシスト自転車のシェアリングサービスとして、都内の主要6エリア(渋谷区・目黒区・港区・世田谷区・品川区・新宿区)にて2020年5月にサービスを開始。利用フローとしては、ユーザーが街なかのポートで自転車を選び、QRコードをカメラで読み取る。返却する予定のポートをアプリ内マップから予約してライドスタート。予約したポートに着いたら自転車の鍵をかけ、枠線内に駐車して写真を撮影・送信するとクレジット決済が行われるというものだ。
使用する自転車の小型化に成功し、自販機1台分のスペースがあればポートを設置できるということもあり、サービス開始から半年でポート数は200箇所以上となった。ちなみに、8月にはローソンに、10月にはファミリーマートと大東建託グループの管理建物に、11月には東急ストアにポートを導入している。
エリア内に高密度に設置されたポートは、レンタル時と返却時のユーザーの利便性を向上させるだろう。
直近のアップデートでは……
同サービスには、ポート以外の場所で停車(ライド終了)できる「ポート外停車」機能がある。これは、急な体調不良や悪天候でライドを続けられなくなった場合を想定したものだ。追加料金150円を支払うことで、ポート外に停車した自転車をスタッフがピックアップしてくれるという仕組み。なお、この場合も端に寄せて停めているかなどを確認するために写真撮影は必要となる。
「ポート外停車」機能は以前からあったが、直近のiOSアップデートでさらに利便性が向上した(Android版は追って実装予定)。それが、ポート外に停車した自転車をほかのユーザーが利用できるというもの。同時に、人通りの多い場所でのポート外停車を避けるため、禁止エリアを設定し、アプリのマップで確認できるようにしている。
今後は、ポート外停車をした場合、一定時間以内に自身またはほかのユーザーが乗れば回収のための追加料金がかからなくなるタイマー機能を実装予定とのことだ。
街の人々からの信用が第1歩
このようにユーザーの利便性向上に努める同サービスの仕組みには、街の人々への配慮も組み込まれている。例えば、ライド前の返却ポートの予約。これは、ユーザーが返したいポートに着いてスペースがないというトラブルを防ぐという効果もあるが、スペースからはみ出して自転車を止めることで歩行者の邪魔になったり景観を損ねたりしないようにとの配慮でもある。ポート外を含む自転車返却時の写真の撮影と送信も、同様の理由からだ。
このような仕組みは、「街の皆様全員から『LUUPはこの街のためにあった方が良い』と思ってもらえることこそ『街のインフラ』になることの条件」と考える同社ならではのものだろう。ちなみに、返却ポートの予約機能を採用しているシェアサイクルは世界的にみても同社のみだそうだ。
同社は今後も「短期的な売上」ではなく「中長期的な街の皆様からの信用」を得ることこそインフラへの第一歩だと考え、さまざまな新機能を試していきたいとしている。
自転車以外のモビリティも視野に
なお同社は将来的に、「LUUP」のポートには自転車にくわえ電動キックボードや高齢者でも乗りやすい3~4輪の新しいモビリティを設置したいとのこと。そのために小型電動アシスト自転車とほぼ同一サイズのLUUP電動キックボードも開発している。電動キックボードについては、公道での実証実験や近畿大学と連携した有償サービスの実証実験など、実用化に向けた取り組みを実施中だ。
Techable(テッカブル)では以前、日本での電動キックボードのシェアリングサービスの普及について、同社代表の岡井大輝氏にインタビューを実施しているので、興味のある方はぜひ。
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note(なぜLUUPは「街のインフラ」になることができるか)