自動車産業の世界的な調査会社であるJATO Dynamicsは、欧州の自動車市場についての最新レポートを公開。
過去20年間で最も厳しい
新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、2020年11月の欧州の新車販売台数は約104万台となり、前年比13%減となった。わずか約99万台にとどまった2014年以来の最低記録だ。また、欧州では2020年1月〜11月に合計1,070万台の新車が販売されたが、これは今世紀に入ってから最も少ない台数だという。JATO DynamicsのグローバルアナリストであるFelipe Munoz氏は「世界的な感染拡大の影響は、自動車業界にとって大きな痛手だ。実際、過去20年間にヨーロッパを襲ったどの経済危機よりも深刻だった」と述べている。
SUVの成長に陰り?
過去6年間、SUVは欧州自動車市場の成長をけん引する存在だった。リーマンショックがおさまった後の2011年〜2013年に自動車市場が回復し始めると、消費者の関心は、ハッチバック、ワゴン、MPV、そしてSUVへ。2019年には、SUVは欧州で合計600万台を超える販売数を記録し、マーケット全体の実に「38%」を占めるに至った。しかし、2020年は状況が劇的に変化。新型コロナウィルスの影響で「ステイホーム」が前提となるニューノーマルの世界で、SUVの成長にストップがかかっている。マーケットシェアは40%以上にまで拡大している一方で、SUVの販売台数は2019年と比較すると11月で13%減、年初来累計台数では21%の大幅減となった。
Munoz氏は「自動車マーケット全体では、今年SUVのラインナップがより幅広くなったため大きな恩恵を受けている。しかし、まだまだ新型コロナウィルスの影響は根強いため、これまでのように新型車が投入されると同時に大きく成長するということは期待できない」と続けている。
一方で、悲観的なニュースばかりではない。モデル別販売ランキングでは、フォルクスワーゲン ゴルフが欧州で最も人気のある車としての地位を維持している。2020年11月の販売台数は24,800台と、2位トヨタ ヤリスの19,400台、3位ルノー クリオの19,200台を突き放した結果となり、王者としての貫禄を見せた。
「止まない雨はない」という。厳しい現状を乗り越えて、欧州自動車市場が回復に向かうことに期待したい。
PR TIMES