新たな手法によって未知の製品領域を明らかにし、これまで想像もつかなかった新しい化粧品設計の可能性を拓こうとしている。
研究開発の背景
コーセーといえば、やはり化粧品が第一に思い浮かぶだろう。実際は、その裏で絶え間ない研究開発が行われている。昨年には、東京都北区に「先端技術研究所」を竣工、これまで散らばっていた複数の研究所を1カ所に集約し、製品開発を一段と効率化させた。最近の取り組みで特に印象的なのは、化粧品のブランド戦略においてデジタルプラットフォームを積極的に取り入れていることだ。昨年銀座にオープンしたコンセプトストア「Maison KOSÉ」では、パーソナライズ美容として3Dスキャンで顔型に合わせたシートマスクを提供するサービスや、画像から肌状態や化粧品の適用イメージを瞬時に分析する技術が提供され、好評を得ている。今月17日には、国内2店舗目となる「Maison KOSÉ 表参道」をオープンさせたばかりだ。
コーセーは、中長期ビジョンにおいて2026年度に売上高5000億円の目標を掲げている。世界で存在感のある企業になるためには、これまでの常識や前提にとらわれないイノベーション、独自価値の創造が求められていく。
新機軸の製品開発
今回新たに開発した独自のアルゴリズムも、未知の商品を生み出すための手法といえる。従来の化粧品開発は、製品の特徴を2次元の平面図でポジショニングし、既存品の多い「実現性の高い」領域と、既存品が少ない「新規性の高い」領域を可視化する、というものだった。しかし、化粧品において検討する項目は「官能」「処方報」「効果効能」、さらにSPF値などのスペックまで多岐にわたり、これらを全て平面図に落とし込むのは容易でない。
そこで、コーセーとblueqat株式会社が共同で開発したのは、ハイブリット量子コンピューティング技術を応用した多次元マッピング技術。解析対象の軸を増やすことで、従来予想できなかった方向からの製品開発に期待がかかる。
開発したアルゴリズムは、特許出願済み。今後、ビジョンの実現に向けて先端技術を積極的に活用するコーセーの取り組みに注目していきたい。
PR TIMES
(文・九条ハル)