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Start Up 主張なきプロダクトこそ正義! MAMORIOが目指す理想の姿とは【開発者の矜持 #05】

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主張なきプロダクトこそ正義! MAMORIOが目指す理想の姿とは【開発者の矜持 #05】

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誰もが一度は経験する不可避の災難、「なくしもの」。気づいたときの焦燥、誰を責めることもできない精神的苦痛、事後対応の煩わしさ……。

しかし、その苦い経験を生かして何か具体的な紛失対策を——「意識する!」という対策以外で——行っている人は一体どれくらいいるだろうか。

この問題に一石を投じているのが、「なくすを、なくす」をミッションに掲げるMAMORIO株式会社。同社が開発しているのは、世界最小クラスの紛失防止デバイス「MAMORIO」だ。

今回はCTOの高野氏と、ディレクターの桶本氏に取材し、「MAMORIO」開発の根底にある「開発者の矜持」を伺った。

「MAMORIO」が現在の形になるまでの苦悩

ーー「MAMORIO」は最初クラウドファンディングからスタートしていますよね。プロジェクト開始の経緯について伺えますか。

高野:弊社は2012年に創業していまして、当初から「落としもの」をテーマに事業を展開していました。ただ、その当時はIoTプロダクトを作っていたわけではなくて、「落し物ドットコム」という落としもの情報の総合ポータルサイトの運営とかをしていたんです。

「MAMORIO」開発のプロジェクトがスタートしたのは確か2013年。Appleが発表した「iBeacon」という規格を使って何か作れるんじゃないか、というところから始まりました。

ーー初期モデルの開発では困難も多かったんじゃないですか?

高野:そうですね、特に大変だったのが「電池の寿命」です。クラウドファンディングでは「1年間使えます」って書いていたんですが、実際に作ってみたら1週間しか電池がもたなくて……。

最終的には製品をお届けする時期を遅らせてもらってなんとか完成しましたが、今思い返してもその頃が一番辛かったですね。

ーー順風満帆な船出ではなかったんですね……。桶本さんもその頃すでにMAMORIOにジョインされていたんですか?

桶本:いえ、自分は初期モデルの販売を開始するタイミングで入社しました。今はディレクターとして幅広く業務を行っていますが、当初はデザイン周りの課題解決がメインでしたね。

ーーなるほど。デザイン面ではどのような課題があったんですか?

桶本:一言でいうと「わかりにくさ」です。

最初の頃は、主にITリテラシーの高い人たちに購入いただいていたのでそれほど問題にならなかったんですが、認知が広がっていくにつれて、「MAMORIO」がどういうプロダクトなのかがわからないという人が多くなってきたんですよね。

どうすれば手にとってもらえるか、どうすれば購入から利用までをシームレスにできるか、というのはめちゃくちゃ考えました。例えばパッケージにしても、筐体が見えるようなデザインにしたり、パッと見ただけでユースケースが伝わるようにしたり……。

この製品って別にITリテラシーが高い人に向けて作ったわけじゃなくて、「なくしもの」をなくしたいすべての人に向けて作ってるんです。なので、「IoTガジェット」としてではなく、「ファッションや小物」として利用できるように工夫しましたね。

「サイズ」だけでなく、「存在」も小さくする

ーー「MAMORIO」最大の特徴といえば「小ささ」だと思いますが、やはりそこには強いこだわりがあるのでしょうか?

桶本:そうですね、「いかに小さくできるか」というのはかなりこだわってますね。ここでいう「小ささ」には、サイズとしての小ささはもちろんですが、存在としての小ささという意味もあります。

「MAMORIO」の性質上、黒子に徹したいんですよね。代表の増木もよく「忘れられるプロダクトを作ろう」って言ってます。

プロダクト開発の考え方も、「どういう機能があれば便利か」を考えて積み重ねていくアプローチではなく、「これはいらないんじゃないか」を考えて削っていくアプローチをとることが多いんです。

例えば最近だと、小さいことですが、本体表面のブランドロゴを外したり……。でもそういうことが大事だと思ってるんですよね。ユーザーからしたらロゴがないほうが絶対に使いやすいですし。

ーー開発のベースにはミニマリズムの考え方があるんですね。

高野:Apple元CDOのジョナサン・アイブが昔どこかで「俺が俺がって主張する製品って嫌なんだよね」って言ってたんですが、今聞くと「なるほどな」と思います。似たようなこと考えてたんだなって。

プロダクトの主張を最小限にするためには、エゴに対して自覚的であるべきだと思うんです。開発サイドのエゴはもちろんですし、ビジネスサイドもしかり。

例えば……何か新しい機能を加えれば、おそらく一部のユーザーは使ってくれるでしょうし、それを「成果だ」と言うこともできます。しかし大事なのはこの欲望にいかに抗えるか。

純粋にユーザー体験を良くすることだけを考え、ユーザー本人とユーザーが果たしたい目的の間に不純物を一切入れないようにすることが重要なのかなと思っています。

ーーなるほど。他に意識されていることはありますか?

高野:あとは、「ユーザーの環境に依存しない」という考え方も重要視しています。

「MAMORIO」では、ユーザーのスマートフォンがインターネットにつながってなくても、BluetoothやGPSの精度に問題があっても、あるいはシステム障害が起こっていても、そういった欠落がある中でベストを尽くしてサービスを提供し、とにかく落ちないようになっています。

フォールトトレラント設計っていうんですが、この設計のベースにも、ユーザーに「MAMORIO」をチューニングさせたり意識させたりしないという「存在を小さくする」考え方があります。

最終的な目標は、やはり「忘れられるプロダクト」をつくること。人々が無意識のうちに「なくしもの」をなくせる、そんな世界を目指しています。

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