資格取得前に実機での訓練ができない小型移動式クレーンの操縦を疑似体験学習できる同システムは、クレーン操作の安全性向上にくわえ、効率的な人材育成ひいては現場の人材不足問題の解消に貢献すると期待されているようだ。
よりリアルに近い環境を再現
同システムの最大の特徴は、小型移動式クレーンの操作環境を忠実に再現していること。VR訓練では、ハンドトラッキング用のセンサーがついたVRゴーグルを装着し、右手にメニュー選択などをするコントローラー、左手にレバーを握る。訓練時に左手に握る独自開発のレバー装置がVR内での4本の操作レバーと連動し、ユーザーの手の動きをハンドトラッキングによってVR空間内に再現する。これにより、VR空間にまるで自分の手が表示されているように感じ、現実のクレーン操縦に酷似した操作が可能となるようだ。
また、クレーンのワイヤロープ・フック・吊り荷・試験用の障害物も「揺れ」「重量感」「衝突」「落下」などリアルな操縦環境を表現する。
同システムは、12月2日~4日に開催された「住宅・ビル・施設 Week 2020」に出展し、デモ体験者から「吊り荷を移動させる揺れ方が現実と同じ」「丁寧に吊り荷を運ぶための体験訓練になる」などの評価を受けた。
豊富な訓練メニュー
訓練メニューには、レバー操作と動作確認を行う基本操作メニュー(VR視聴+VR体験操作)がある。レバーを操作した際の動作を4方向の視点からの確認や、目指す位置に移動させるためのレバーの基本操作を練習するメニューだ。資格取得のための試験コース分析・攻略(VR視聴)では、運転資格を取得するための技能試験コースを分析し、コース内でのレバー操作やスムーズに進めるための注意点について学ぶ。
試験コース体験(VR操作体験)では、技能試験のコースをナレーション説明にしたがい一通り体験する。このコースのナレーションをなくしたものが試験コース模擬試験だ。模擬試験後には操作に対する評価が表示される。
また、VRならではの危険体験メニュー「荷振れ制御訓練(大きく揺らした荷を静止させる訓練)」も体験可能だ。
先日Techable(テッカブル)でも取り上げた「ナップ溶接トレーニング」もそうだが、近頃、VRはニッチな領域へも広がってきているように感じる。
PR TIMES