機械学習エンジニア達が戦うサッカーAIコンペ
今年9月28日〜12月12日にかけて開催された本コンペティションでは、「Google Research Football Environment」というビデオゲームと同じような環境で動作するフィールドで、11対11のAIエージェント同士がサッカー試合を行う。参加者は、グローバル大企業や研究所に所属する機械学習エンジニアなど錚々たる面々。大渡氏は、DeNAのデータサイエンティストである田中一樹氏と組んだチームで本コンペティションに参加。合計1138チームが作成したAIエージェント同士による多数の試合が行われ、その勝敗結果をもとに順位付け/レーティング計算が行われた。
並列強化学習を駆使して作成したAIエージェントにより、チーム「TamakEri」は見事5位入賞に輝き、日本人として最高位を獲得する成績を収めた。
チームを勝利に導いた「quantum AI」とは?
今回のサッカーAIコンペで活躍した大渡氏が所属する「quantum AI」は、機械学習システムの開発と実装支援をするプロジェクトチームだ。同氏によると、AIは状況に応じて反射的に判断を行うことは得意な半面、記憶、特に「長期的な記憶」に関してはまだ発展途上の段階にあるという。例えば人間であれば、過去の経験の蓄積から試合中に様々な判断をすることができるが、AIはそれが苦手だ。
同チームは今後、複数人での協調動作や、高度な戦略変更などサッカーの強化学習を通して「長期的な記憶」に関わる領域を紐解くことで、AI技術の進歩に寄与していくという。
また、quantum AIのリーダーを務める及部智仁氏は「選手の動き、チームの動きを模倣する深層模倣学習の研究を進めることで、他のチームスポーツはもちろん、スポーツ以外の様々な新規分野へも応用できると考えています。」とさらなる未来への期待を語った。
PR TIMES
(文・竹内息吹)