「Semantic Filtering」は、AIで画像内の物体を種類ごとに識別し、それぞれに最適なレタッチを施す技術。最新バージョンでは識別ジャンルが増えたほか、分割精度の向上により被写体の細部にまで及ぶ正確な画質調整ができるようになった。
画像を物体ごとに分割しフィルターを適用
核となるセマンティックセグメンテーションは、画像のもつ「意味」を判別し、分類するテクノロジーだ。たとえば、ポートレート写真なら「肌」「髪」「衣服」、風景写真なら「空」「地面」「建物」のように、画像の各ピクセルがもつ情報をAIが判別し、カテゴリー別に分類してくれる。顔が暗いので写真の輝度をあげたら空が白トビしてしまったとか、肌を綺麗に見せようとしてフィルター加工したら背景がおかしくなってしまったとか...そんな経験をした人にとって、この技術は大いに役立つかもしれない。
Semantic Filteringの肝は、分割したカテゴリー毎に最適化された画像処理を施してくれる点にある。これにより、物体ごとのディテールや質感を活かしながらも、よりクリアな画質の向上が可能になるのだ。
最新バージョンでさらに進化
Semantic Filteringによる画像分割・レタッチ技術は、クアルコムの新製品発表イベント「Snapdragon Tech Summit Digital 2020」にて紹介を受けている(詳細は動画を参照)。モルフォの領域別フィルター技術については昨年も同イベントで紹介されていたが、今回は識別カテゴリーを拡充し画像分割の精度を向上させた最新バージョンのお披露目となった。
昔に比べてレタッチソフトの「自動補正」を使う機会が格段に増えたように、AIによる画像処理技術はいよいよ実用的なレベルにまで来ている。「Semantic Filtering」のような次世代のイメージング・テクノロジーは、どんな写真もボタン一つで「いい感じ」に編集できる、そんな未来を予感させてくれる。
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(文・九条ハル)