同協定の一環として、12月3日~来年3月31日の期間、神戸市においてシニアサービスを展開する2事業者を対象に、eスポーツが高齢者のコミュニケーション活性化を促せるかどうかや、健康増進に効果があるのかなどの実証を行う。
目標は、新たなコミュニケーションツールの開発
健康と要介護の中間の状態を示す「フレイル(虚弱)」。適切な対策をすれば要介護状態に進まずにすむ可能性があるという。適切な対策というのは、主に「社会参加」「身体活動」「栄養」の3つ。しかし、新型コロナウイルスの影響で社会や離れて暮らす家族とのつながりが希薄になり、フレイルのリスクは高まっているようだ。そこで3者は、高齢者のフレイル予防やデジタルデバイドの解消などにつなげることができるようなeスポーツを活用した新しいコミュニケーションツールの開発を目指し、実証事業に乗り出した。
今回、実証事業の対象となる事業者は、有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅を運営するスミリンケアライフ株式会社と、デイサービスや予防リハビリ施設を運営中の株式会社PLAST。
賛同企業として、合同会社ISRパーソネルやNGM株式会社、帝人株式会社、パラマウントベッド株式会社が参画しており、神戸大学との連携も調整中だ。
実証事業の流れ
実証事業のはじめの壁ともいえるのは、高齢者にeスポーツが受け入れられるかということだろう。デジタルデバイスに馴染みのない人もいるなかで、どのように抵抗感を拭い、eスポーツに興味をもってもらうかが課題のひとつ。そこで、デジタルデバイスの基本的な操作に親しんでもらうとともに、賛同企業と連携した体験イベントを開催し、eスポーツへの関心を高めていく。またこの段階で認知機能やフレイル問診チェックを実施し、健康状態を把握する。
その後、施設内や自宅にeスポーツ環境を常設し、さまざまなゲームコンテンツに自由に触れられる環境を提供。ウェアラブル端末や睡眠マットセンサーを使用したバイタルデータを取得し、認知機能やフレイル問診チェックの結果とあわせ、eスポーツが心身に与えるポジティブな影響に関する仮説を設定するという。
この仮説をもとに、今後の取り組みに有効なゲームタイトルの選定やバイタルデータ計測方法の改善などを進めていく予定だ。このような流れで、高齢者向けのeスポーツを活用した新しいコミュニケーションツールの開発を目指す。
神戸市、魅力向上への取り組み
神戸市は、ACALL株式会社らと連携して区役所の窓口業務をアプリを活用して非接触にする実証実験や、株式会社SkyDriveらと連携したドローン活用の配送サービス実用化に向けた実証実験、パーソルテンプスタッフ株式会社およびコニカミノルタ株式会社との3者連携による就業機会創出プロジェクト、電通とのファン創出に向けた共同研究など、さまざまな領域で市の魅力を向上させる試みを行っている。このたびの実証事業も、高齢者にとって安心して暮らせる街づくりの施策のひとつとして成功を収めてほしい。
PR TIMES