道路交通調査が抱える課題の解決へ
オンキヨーとNAISTは、産学連携の共同研究に関する協定を締結し、AIを活用した新事業の創出に向けて技術開発に取り組んでいる。同社がNAISTユビキタスコンピューティングシステム研究室と研究を行ったのが、前述の「路側設置振動センサーによる交通量推定システム」。これは、道路交通調査が抱える課題の解決につながるシステムだ。交通量の実態調査・課題把握のために実施される道路交通調査は、長年にわたって人手に依存してきた。高速道路においては機械計測も活発に行われている一方、一般道路に関しては機械計測があまり普及していないとのこと。機械化に向けた議論もされているものの、機器にかかるコストや設置の大変さなどが課題となっていたようだ。
そこで、オンキヨーとNAISTの両者はピエゾ素子を活用し、低コストで設置も簡単な振動センサーを開発。複数の一般道路の歩道に同センサーを設置して実験を行った。実験では、道路を通過した車両の数を、センサーが集めた振動音データのみから推定。機械学習アルゴリズムの「SVM(Support Vector Machine)」を用いた推定により、高精度な車両数カウントに成功したという。
研究成果に関する論文が賞を受賞
今回の研究成果に関する論文は、「情報処理学会 マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会」が今月中旬に主催した「DPSワークショップ2020」にて発表され、優秀論文賞を受賞した。オンキヨーは、グループ全体の経営理念である「VALUE CREATION」に基づき、音をはじめとしたさまざまな技術とAIのコラボレーションを図っていくとしている。同社の今後の取り組みにも要注目だ。
PR TIMES
(文・早川あさひ)