データを教育に生かすために
同プロジェクトは、教育用説明生成AIエンジンEXAIT (Educational Explainable AI Tools) を構築するとともに、京都市教育委員会の指定した実証校と連携し、ラーニングアナリティクスの学校現場への導入を進めるというもの。文部科学省「GIGAスクール構想」にて児童・生徒一人一台の端末整備が加速。テスト等をコンピュータで実施するなど、データを蓄積できる環境も整ってきており、そのデータを生かすために教育でのAI活用の研究も始まっている。しかし、AIでいくらデータを解析しても、データに学習者が納得できなければ、主体的な意欲を引き出せないという課題もあった。
同プロジェクトでは、学習者がより納得して課題に取り組めるよう、より学習・指導に有効な分析データを導き出す「説明できるAI」の開発を行うことを目的としてスタート。京都市教育委員会と連携してその実証研究も行なっていくとしている。
学習者のためのAI
実証研究では、京都大学学術情報メディアセンターの緒方広明教授らによって独自に開発されたデジタル教材配信システム(e-Bookリーダー)のBookRollと分析ツールLA Viewで構成されるラーニングアナリティクスシステム「LEAFシステム」を基盤に、学習行動から説明生成を行うAIエンジン「EXAIT」を開発。「モデル駆動」と「データ駆動」の両面から、AI エンジンによるデータに基づく教育改善していく。「モデル駆動」によって学習者が次に学ぶべき事項や解くべき問題を理由とともに推薦し、「データ駆動」で学習ログを蓄積し、学習ログからボトムアップに説明を生成。両駆動を融合融合することにより、児童生徒の学習プロセスを理解して説明を生成し、学ぶべき事項を推薦するAI を開発していくという。
また、京都大学のiPS細胞研究所も12日にAIを活用した創薬に向けて新たなアルゴリズムを開発し、既存薬よりも高い効果を示す化合物を同定できたと発表したばかり。他にも、AIによるアイヌ語の自動音声認識・合成に成功するなど、さまざまな分野でのAI研究をすすめており、同大学のAI研究には今後も注目していきたい。
京都大学