Samsungの先端技術研究所(SAIT)は早くからこの分野に取り組んでいるが、このほど薄型ホログラフィックディスプレイ技術に関する研究結果を発表した。同研究では、ホログラムを広範に展開するうえでの障壁の1つ、視野角の課題を解決している。
入射ビームを調整して視野角を30倍に
ホログラム技術の制限の1つに、画面が拡大すると視野角が狭くなることがある。2mm × 1mmのフルHDホログラフィックディスプレイの視野角が30°だとすれば、ディスプレイサイズを200mm × 100mmに拡大したときの視野角は0.3°になるという。研究チームは、この課題を解決するために「Steering-BackLight Unit(S-BLU)」と呼ばれる光学システムを開発した。
S-BLUは、入射ビームを平行なものに変換する薄型パネル形状のバックライトと、入射ビームを希望の角度に調整できるビーム偏向器で構成されている。10インチの従来の4Kディスプレイが、0.6°と非常に小さな視野角を提供するのに対し、S-BLUでは視野角を約30倍に拡大できるという。
FPGAを利用して4Kホログラフィック画像を生成
研究でのもう1つのハイライトは、シングルチップのFPGAを利用したホログラム計算により、4Kホログラフィック画像をリアルタイムで生成する手法を開発したことだ。同手法では、情報の損失や過度のサンプリングを防ぐ条件を適用することにより、アルゴリズムを最適化している。
開発者によれば、ホログラムが日常で利用できるようになるまでにはディスプレイだけでなく、コンテンツや膨大な量のデータ送信に関する技術の開発が必要とのことだが、今回開発の技術はホログラム実用に向けての重要なステップとなりそうだ。
参照元:[Interview] Samsung Researchers Open a New Chapter for Holographic Displays/ Samsung Newsroom