患者の状態を把握する用途などで利用されるこの手のセンサーは、装着が不快か、あるいは体内埋め込み式のものでは人体へのリスクと負担を伴う処置が必要となる。
研究チームが開発した新しいセンサーは、体内でガスレベルをモニタリングできて、一定期間を経て安全に人体に吸収されるという。
1日約1~2ナノメートルで生分解
一酸化窒素は酸素にさらされると変化しやすいため、体内でのモニタリングは体外でのものより精度が高くなる可能性がある。そこで研究チームは、柔軟性と伸縮性を備え、しかもかさばらないセンサーの設計を試みた。このセンサーは生分解性でもあるため、取り出す際の処置も不要だ。研究チームはセンシングデバイスの電極にマグネシウムを、機能性材料には一酸化窒素に非常に敏感なシリコンを用いた。これらの材料は人体で安全に吸収できる。さらには、1日約1~2ナノメートルと非常にゆっくりと分解されるため、モニタリングが十分長期間にわたって行える。
ガスの吸収によっておこる電気抵抗の変化から測定
測定は、ガスの吸収によっておこる電気抵抗の変化に基づいている。ただし、外的な圧力などで材料が変形することでも電気抵抗は変化することから、スーパーコンピューターを使用して、材料の形状のわずかな変化を計算できるシミュレーションモデルを作成した。研究チームが水溶液でテストを実施した結果、センサーは体内の過酷な条件下でも安定して動作することが示されたとのこと。
今後の研究では、老化やさまざまな疾患に対応した総合的なモニタリングシステムの開発が検討されることになる。
参照元:Implantable sensor could measure bodily functions -- and then safely biodegrade/ Penn State News