従来の技術における課題とは?
人の皮膚の血管は非常に細かく複雑なネットワーク構造をしており、観察の難易度は高い。特に顔に関しては、血管の観察が難しいとされていた。その理由として、顔特有の立体的な構造に加え、呼吸などの体動ノイズに影響されやすいことが挙げられる。資生堂は2017年に、肌を傷つけることなく顔の毛細血管を観察できる独自技術を開発。この技術開発にあたっては、眼底観察などの目的で医療現場でも活用されている技術「光干渉断層血管撮影技術(OCTA)」を応用したという。ただし課題もあり、観察可能なのは最大12×12mmの狭い範囲となっていた。
さまざまな形での応用が期待される
そこで資生堂は今回、顔の血管の広範囲な可視化を目指してWang教授と共同研究を実施。顔特有の構造に対応し、体動ノイズも排除可能な血管検出システムを開発した。これにより、顔全体の毛細血管を可視化することに成功。血管を広範囲でとらえられるようになり、血管の部分的な変調を検出できるようになったという。今回の研究成果は、部分的なアプローチにとどまらない顔全体のスキンケアや、血管の観察による肌状態予測などにつながる。リンパ管の可視化など、先進的な研究を続ける資生堂の取り組みには要注目だ。
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(文・早川あさひ)