同プロジェクトでは、人が認知的疲労によりパフォーマンスが下がっていることを検知すると、回復を促したり、業務から外してリスクを回避したり……といった介入策提案も検討しているようだ。
生理的なデータから疲労やストレスを検出
このビジョンは、テクノロジーを使用して人の認知状態や感情状態を読み取る研究に端を発している。研究チームは作業の様子の録画や録音を通して、音声と表情の変化、心拍数、脳波、眼球運動……といったデータを収集。これらをAIで処理することにより、心理的および神経行動学的状態のバイオマーカーを発見した。
うつ病のレベルを正確に推定できるモデルの構築なんかにも利用されるこれらのバイオマーカーを、同プロジェクトでは疲労やストレスの検出に利用する。
パーソナライズされた認知モデルの開発へ
最初のステップでは、生理学的なデータを入力にして、タスク実行で疲労を感じたときにどう変化するかを観測。個人の認知モデルを構築する。基本的なパターンが確立すれば、そこから逸脱した際にミスやパフォーマンスの低下が起こると可能性がある。ただ、人間はストレスや疲労を補償することから予測がややこしくなるようだ。つまり、逸脱が補償されないケースを予測し、適切な介入が促されることが重要になる。
最適な介入をパーソナライズ
個人の認知モデルが構築できたら、次は最も有効な介入が検討されるという。コーヒーを飲む、照明を変える、新鮮な空気を吸う……といった一般的なもの以外も、電極で脳の特定部位を刺激する「経頭蓋直流電気刺激」なんかも試されるようだ。個人の特性やタスクの種類、認知状態に応じて、最適な種類/量の介入が評価される。最終的には、誰にでも適用できる認知モデルの構築が目指されるとのことで、とりわけ救急医療や災害対応などの認知的疲労の影響が大きいケースで役立てられそうだ。
参照元:Stressed on the job? An AI teammate may know how to help/ MIT News