同技術では、最大1万ppiを超える解像度が実現可能となっている。最新スマホの解像度が800ppi程度と考えるといかに革新的かが理解できるだろう。
目に近接したVRデバイスのディスプレイで、とりわけ効力を発揮しそうな同技術は、既存のOLED技術を置き換える可能性がある。
明るく製造が簡易なOLEDディスプレイに
新しいOLEDは、非常に高いピクセル密度を備えていることに加えて、従来のものより明るく製造が簡易、費用対効果も高い。OLEDの技術的な中心には、電気を流すと赤、緑、青の光を発する有機分子がある。OLEDディスプレイの各ピクセルは、これらのサブピクセルで構成されていて、原色を組み合わせてさまざまな色を形成する。このOLEDは製造プロセスが複雑で、スマホディスプレイなど小規模なもの向きだ。
また、テレビなど大画面に用いられる白色OLEDでは、カラーフィルターをかますことで色を形成しており、製造が簡易な一方電力消費量が大きく、画像が画面に焼け付くといったデメリットもある。
Samsungが引継ぎフルサイズのディスプレイ開発へ
新しいOLEDでは、光学メタサーフェスと呼ばれるソーラーパネルの要素を利用する。この、ナノスケールの波形構造を備えた反射金属層は、光の反射特性を操作して効果的に色を抽出できるという。従来のOLEDでは、サブピクセルを構成する赤、青、緑の波長に対応した有機分子の厚さが異なっており、フラットスクリーンを製造するには材料の配置による厚さの調整が必要だった。これに対して、新しOLEDでは各ピクセルを同じ高さにすることができ、大小規模での製造が簡易化できる。
ミニチュアのピクセルを用いたテストでは、白色OLEDと比較して色純度が高く、発光効率が2倍に向上したことが示された。同技術の追求はSamsungによって引き継がれ、フルサイズのディスプレイへの統合が目指されている。
参照元:Stanford materials scientists borrow solar panel tech to create new ultrahigh-res OLED display/ Stanford News