ただ、当初開発のデバイスは特殊な材料が用いられていて、水の生成量も十分ではなかったことから実用的とはいえなかったようだ。そこで研究チームは、構成材料の変更と水生成効率の改良を図っている。
2層構造の水生成システム
同デバイスは、昼夜の温度差を利用して水を生成する。まず、夜間に空気中の水分を吸着材料表面に収集し、太陽光によりデバイスが加熱されると、吸着剤から放出された水が収集プレートで凝固する仕組みだ。吸着材料には「金属有機構造体(MOF)」と呼ばれる特殊材料が用いられていたのだが、これを広く入手可能な「ゼオライト」に変更。2層構造にすることで、効率的な水の生成を可能にした。
新デバイスでは、蒸気が収集プレート上で凝固する際に放出する熱を再利用し、2層目のゼオライトに吸着した水を放出。一緒にタンクに集める。
水の生成量が2倍に
こうした効率的な収集システムにより、理屈としては水の生成量は旧バージョンの約2倍になる。研究チームが屋上でテストしたところ、桁違いの水が得られたようだが、現実環境では温度差や湿度などの環境条件にも左右されるようだ。これまでも2層構造の水生成システムは開発されていたが、霧など湿度の高い条件が必要だった。また、露からの水収集ではデバイス冷却のためのエネルギーが必要だったとのこと。対して新しい水生成デバイスは、湿度20%でも機能し、太陽光以外のエネルギーを必要としない。
いまの段階で1m2あたり約0.8lの水が1日で生成可能だが、研究チームはデバイスをさらに改良し実用化につなげる計画だ。
参照元:Solar-powered system extracts drinkable water from “dry” air/ MIT News