同サービスは、過疎化が進む離島や山間部における物流や医療の問題を「空」から解決しようというもの。なお、7月30日には、あいおいニッセイ同和損保および香川大学と共同で香川県三豊市・粟島間の無人ドローン遠隔診療実験に成功している。
「MPU5」の実力
同サービス実装のためには、「周辺の気象状況の常時監視」と「機体周囲状況確認」というドローン目視外運用に必要な2つの条件をクリアしなければならない。そこで同社は、カメラとともにハイテクインターが提供する無線伝送装置(MPU5)をドローンに搭載。
地上に設置した5.7GHz帯の小型基地局とドローンに搭載したカメラ、そして国内で唯一、映像と遠隔地の測定データを同時多接続かつ長距離・広範囲で送受信できるMPU5により、気象データなどさまざまな運行状況データのリアルタイムな監視を実現し、先述の条件をクリアした。
そんな「OceanMesh」の最大の特徴は、広帯域・低遅延・常時接続を可能とする高品質の通信ネットワークを低コストかつ素早く構築できる点だ。
物流などの課題を抱える地域には通信環境が整っていない場所も多く、無人物流のシステムを取り入れるにはコスト面のハードルも高かった。しかし同サービスの場合、低コストで素早く運用調整できるため、より多くの地域への導入が可能となるかもしれない。
陸・海・空、それぞれの無人物流
株式会社かもめやは、自然環境に恵まれているものの物流面の利便性が低い離島などに、無人物流というソリューションを提供すべくシステム開発に注力している企業だ。同社が考える日本における理想的な無人物流プラットフォームは、陸・海・空すべてを融合したハイブリッドなものだという。今回紹介した「OceanMesh」は「空」にあたるものだが、ほかにもe-VTOLタイプのカモメ型ドローン「KamomeAir」という「空」からの無人物流システムもある。
また、低コストで大量輸送を実現する「Donbura.co(ドンブラコ)」は、一度に100kg以上の荷物を運ぶことができる桃のかたちが特徴的な「海」の無人物流システム。
そして、「空」や「海」から運ばれてきた荷物を港で受け取り、住民の自宅近くまで自動で運ぶのが、陸上輸送システム「Smart.ONBA(スマートオンバ)」だ。ちなみに、オンバとは瀬戸内海の男木島で活躍する手押し車の愛称。
離島や山間部における物流などの課題解決には、簡単かつ低コストで導入できる仕組みが必要だろう。しかしそれだけでは実装に至るのは難しいかもしれない。だからこそ、同社のように多角的に課題解決への道を探る企業に期待をよせたい。
PR TIMES