その最新の成果が公開された。銀河系(天の川)の中心、いて座A*(いて座エー・スター)付近の写真データを音に変換したものだ。
データを可聴化するソニフィケーション
データを耳で捉えられるように、音に変換することを「ソニフィケーション(sonification)」という。NASAは、スミソニアン天体物理観測所と協力して、最新鋭の天体望遠鏡で収集したデータを「ソニフィケーション」するプロジェクトを進めてきた。9月22日に発表されたその最新作は、天の川の音だ。より正確に言うなら、いて座A*付近の星空の音。いて座A*は銀河系の中心にある天文電波源で、超大質量ブラックホールがあると言われている。
デジタルデータを一定の規則で音に変換
発表された音源には4つのバージョンがある。可視光線、赤外線、X線のそれぞれで撮影した写真データをもとにしたものと、それら3つを重ね合わせたものだ。3種の写真は、それぞれ、ハッブル宇宙望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡、チャンドラX線観測衛星で撮影されたもの。ソニフィケーションでは、元データが一定の規則に従って音に変換される。今回の「天の川」の音では、次のような規則が適用されているとのこと。
- 音への変換は、写真の左端から右方向へ行われる。
- 星は独立した音で表現され、音程はその位置(写真中の上下)に応じ、音量は光度に応じる。上にある星ほど高音になり、明るい星ほど音は大きくなる。
- ガスや宇宙塵などのぼんやりした光は、音程の変わらない唸りのような音(ドローン)で表現され、明るさに応じて音量が増減(クレッシェンド/デクレッシェンド)する。
Chandra X-ray Observatory