そんな同社が作り出したのが、全長2m級の帆船型ドローン「Type-A」。簡単にいうと、無人で航行するセーリングヨットだが、活用している制御システムを考えると「海上ドローン」と呼ぶほうがいいかもしれない。
このたび同社は、大型3Dプリンターなどの開発を手がける株式会社EXTRABOLDと業務提携を締結。「type-A」の実運用に向け、量産体制を見据えた共同開発に着手する。
無人自動航行に成功!
「Type-A」は、自動かつ無人での魚群探索や詳細海底地図作成を目的に開発されたモデル。複数の無人操船ヨットを海上で稼働させることで、これまで有人で行ってきたこれらの作業を効率的に行えるようになる。同社は2020年6月、「Type-A」の海上での自動操船と自律航行テストに成功。海上半径5mの範囲内の2つの地点を経由し自動でスタート地点に戻るというテストを無事クリアしたという。これにより、無人帆船の多方面での活用に期待が高まっている。
量産体制のカギ「EXF-12」
ここで課題となるのが量産体制だ。従来の小型船の製造方法は非効率的であったため3Dプリンターにスポットをあてたが、設計開発スピードは早いものの造形サイズの制限や製造時間がかかるという問題が浮上。しかし、EXTRABOLD社が展開する大型3Dプリンター「EXF-12」なら、これらの問題を解決する見込みがあるという。
「EXF-12」は、吐出量15kg/h、造形サイズ最大長1700mmと高速かつ大型。これにより、従来40時間以上かかっていた造形時間が約7時間に短縮されるとのこと。
また、これまでの1mクラスの大型3Dプリンターでは船体を分割して出力し、あとからボルトなどでつないでいたが、「EXF-12」は一体化した状態で造形することができる。そのため、強度・耐水性などの性能向上が期待できるようだ。
同社の最終目標は……
造形時間の短縮と組立工程・防水処理の省略が可能となる「EXF-12」を活用することで製造期間を1日にまで短縮し、量産体制を整備したいとしている。「Type-A」の量産に成功すれば、サブスクリプションでの提供を予定しているようだ。まずは関東からサービスを開始し、将来的には全国展開を目指すとのこと。
Techable(テッカブル)では、2020年7月に同社代表の野間氏にインタビューを行っている。
インタビューのなかで野間氏は、近年普及してきた電気自動車などの動力源となる「電気」を海洋エネルギーでまかなえる可能性を考え、海上の再生可能エネルギーを水素に変換し陸まで運ぶ低コストかつエコな手段として「帆船」に着目したと話してくれた。
しかし今は、エネルギー輸送の分野に乗り出すにはまだ早いとのこと……。インタビューでは、最終目標までに描かれるプロセスなども伺っているので興味のある方はぜひ併せて読んでみてほしい。
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