ミシガン大学の研究チームが開発したメモリチップは、データが7日間で自己消去される。読み書きに特殊な技術が必要なため、偽造デバイスの検出や機密データのやり取りに利用できそうだ。
UVライトでエネルギーを蓄積する分子を利用
メモリチップに文字などの情報をマーキングするにはUVライトを使用するようだ。データ自己消去チップは、厚さ3原子の半導体層が、UVライトに反応して収縮する分子「アゾベンゼン」ベースの薄膜上に重ねられた構造になっている。UVライトを当てるとアゾベンゼンが収縮して半導体を引っ張り、その部分だけ発する光の波長がわずかに変化する。マーキングされた情報を読み取るには、特定の周波数のライトを当てる必要があり、第三者は解読困難だ。
アゾベンゼンに蓄積されたエネルギーは約7日間かけて放出され、それを超えると収縮がもとにもどる。また、ブルーライトを照射するとその場でリセットされ、再び情報のマーキングが可能になるという。
機密性の高いメッセージ記述やハードウェア認証に
同技術は、機密性の高いメッセージのやり取りに利用できるほか、輸送中のパーツ交換の検出やハードウェア認証にも利用できるだろう。デバイス内のチップにバーコードを印刷しておけば、光を当ててこれを確認することで改ざんされていないことが証明できる。研究チームは、引き続き研究を行い7日間のデータ保存期間を延長する手法を開発中だ。
同技術は、高い機密性が求められる軍用電子デバイスなどで役立てられる可能性があるだろう。
参照元:A self-erasing chip for security and anti-counterfeit tech/ Michigan News