1秒に数千立方マイクロメートル伸びる爪を材料にすると、体積約1立方マイクロメートルの冷蔵庫が毎秒5000台生産できるとのこと。
この冷蔵庫ではもちろん野菜は冷やせないが、電子機器の温度調整や画像のノイズ低減などに役立つ可能性がある。
熱電クーラーの原理を利用
冷蔵庫は、電流を流すと片面が熱くなり片面が冷却される、熱電クーラーの原理を利用している。熱電クーラーには、サイズが小さいこと、可動部品がないこと、信頼性が高いこと……といったメリットがある一方、冷却効率が低いとのデメリットもあるようだ。
研究チームは、電熱クーラーのスケールをナノメートル単位にまで落とすことで、デメリットを打ち消そうとしている。
瞬時の冷却を実現
高性能な熱電クーラーの材料には、高い導電性と低い熱伝導性が求められる。研究チームはこの相反する条件をクリアすべく、2種類の半導体材料を金属プレートで挟むことで冷蔵庫を2層構造にした。これにより、立方ミリメートル級の冷蔵庫に比べて数百万倍速い冷却を実現している。
ナノスケールのデバイスでは、冷却精度を検証するのも困難に思えるが、研究チームは以前に、透過型電子顕微鏡でナノ粒子の密度の変化を見て温度を測定する技術を開発しており、検証にはこれを活用した。
こうした話から、目に見えない冷蔵庫があちこちに配置された世界を想像しがちだが、より実用的なアプリケーションで利用するために、今度は冷蔵庫のスケールアップが必要なようだ。
参照元:UCLA scientists create world’s smallest ‘refrigerator’/ UCLA Newsroom