V字型にして燃料を20%カット
「Flying-V」はこれまでにない斬新な旅客機だ。一般の航空機のような胴体はなく、機首から左右に翼が広がっている。客席や貨物スペース、燃料タンクなどは、全て翼の中にある。このような形態にした大きな理由は、燃費の良さだ。デルフト工科大学のニュースリリースによれば、現在最も燃費に優れた航空機と比較して、燃料消費が20%少なくなるというコンピュータシミュレーションの結果が出ているそう。
プロトタイプとなる20分の1スケールモデル(幅3m、重量22.5kg)は2019年10月に完成し、これまで風洞実験など地上でのテストが行われてきたが、今年7月、ドイツの飛行場で初めて空に飛び立つことになった。
実際にやってみないとわからない
テスト飛行に際して、開発チームにはある不安があったそうだ。デルフト工科大学のRoelof Vos教授は、ニュースリリースの中でこう言っている。我々の心配の一つは、離陸時に問題が起こるのではないかということでした。シミュレーションの段階で、機体の回転(rotation/ローテーション)がネックになりそうだとわかっていたからです。問題が起こらないように、できる限りの調整はしました。けれど、何事も実際にやってみないとわからないものですから。
「Flying-V」の実機は、同大学のサイトによれば、エアバスA350と同クラスの旅客機になるとのこと。客席数は314席。主翼の端から端までの長さはA350とほぼ同じ約65m。だが、全長は約54mとA350より短い。燃料はジェット燃料でなく、液体水素が使われるらしい。
KLM Newsroom