ゴミがある場所の特定から回収まで、人工知能(AI)を活用しながらすべて人間が介在することなく行われる。
ゴミと海洋生物の分別も
欧州連合が資金を提供しているSeaClearプロジェクトでは、航空ドローン、水中ドローン、そしてハブとなる母船を活用する。いずれも無人で作動・連携するようになっている。作業を行う場所は、岸に近いエリアの海底。川から流されてくるなど、ゴミが最も多いところだ。作業はまず、ゴミを特定するところから始まる。航空ドローンと水中ドローンが自律航行しながら搭載するカメラで水面と海底のゴミの有無を調べる。
カメラに映ったものが実際にゴミなのかどうかの判別にはAIが活用されていて、ゴミ、海洋生物、岩石などの分別が可能という。
グリップでゴミ回収
そしてゴミが確認されたら2台目の水中ドローンが投入される。1台目の水中ドローン同様、こちらもモーターで水中を自律的に移動して目的地に向かう。水中ドローンは母船とケーブルでつながっていて、ケーブルで送電とデータやり取りを行う。母船に搭載されているコンピューターがデータを処理し、ゴミの場所などを水中ドローンに伝える。そして指令を受けた水中ドローンはグリップなどを使ってゴミを回収し、母船に持ち帰るという仕組みだ。
SeaClearは、ドイツの海運フラウンホーファーセンター、ミュンヘンやデルフトの工科大学などのコンソーシアムが手掛けている。現在は一連のプロトタイプをテストしている段階で、ゴミ検知率80%、回収率90%を目指すとしている。
SeaClear
(文・Mizoguchi)