同氏はエネルギーの生産および貯蔵技術がスケールしているのに対し、輸送技術に関しては未熟なままなことに目をつけた。ニュージーランドのファンド、Callaghan Innovationに協力を仰ぎワイヤレス送電技術を開発。テスト段階に至ったという。
送電インフラに要するコストを最大65%削減
同社の開発したワイヤレス・パワー・トランスミッション(WPT)技術では、ケーブルの代わりに電磁波を使って送電する。送信アンテナからビームシェービングによって送信される電磁波は、受信アンテナ側で電気に変換される。2つのアンテナ間に中継器をかますことで、伝送距離を延長できるようだ。ビームは、WiFiやBluetoothなどが使用する帯域の周波数を使用する。さらに、ポイントツーポイント伝送により、ビームの通路が限定される。万が一ビームが鳥などに当たっても、すぐにシャットダウンするなど安全性を最重視した設計に。ケーブル類の設置とメンテナンスが不要になることで、送電インフラに要するコストを最大65%削減できるという。
クリーンエネルギー消費量が最大50%増加
同技術のユースケースとしては、僻地で生産されがちなクリーンエネルギーの送電コストを下げる、インフラの整っていない地域への送電を補助する、既存のインフラのメンテナンス中に一時的に代替する……といったものがある。同社によれば、長距離ワイヤレス送電が実現することで、クリーンエネルギー消費量が最大50%増加し、停電が最大85%解消される可能性があるという。
Emrodは次期プロトタイプを10月にPowercoに提供し、まず2~3カ月かけて研究施設でのテストを実施。担当者のトレーニング完了後には実証実験に移る計画だ。
参照元:Wireless power transmission, opening up a world of possibilities/ Emrod
Press release: NZ start-up launches world-first long range wireless power transmission/ Emrod